宇奈月、次の100年へ 黒部で開湯100周年式典

宇奈月温泉開発に携わった先人に献花する関係者=黒部市芸術創造センターセレネ

  ●高峰博士ら先人に感謝

 黒部市宇奈月温泉の開湯100周年記念式典は18日、同市芸術創造センターセレネで行われ、約250人が節目を祝った。温泉街誕生のきっかけとなった電源開発を構想した高岡生まれ、金沢育ちの世界的化学者・高峰譲吉博士ら先人に感謝するとともに、次の100年への決意を新たにした。宇奈月地区の若手が「うなづき宣言」を発表、心温まる温泉エコリゾートを目指して行動していくことを誓った。

 冒頭、高峰博士をはじめ、博士とともにアルミニウム製造会社を設立した塩原又策、博士の構想に協力して電源開発を推進し、上流からの源泉引湯に成功した山田胖(ゆたか)、アルミ会社から黒部川開発を引き継いだ金沢出身の日本電力初代社長・山岡順太郎ら7先人を顕彰した。

 100周年事業実行委員会名誉実行委員長の武隈義一市長、いずれも実行委副実行委員長の川端康夫黒部・宇奈月温泉観光局代表理事、濱田政利宇奈月温泉旅館協同組合理事長、鈴木俊茂黒部峡谷鉄道社長らがステージ上で献花した。

 実行委の河田稔委員長が「苦難を乗り越えてきた歴史を糧にさらに発展を遂げたい」と式辞を述べた。武隈市長は来年の黒部宇奈月キャニオンルート一般開放、北陸新幹線敦賀延伸を挙げ、「持続可能で、地域全体が恩恵を受けられる観光政策をオール黒部市で進める」と決意を示した。

 節目を記念し、水墨画屏風(びょうぶ)作品5点を市に寄贈した日本画家田渕俊夫氏(81)に武隈市長が感謝状を贈呈した。新田八朗富山県知事、上田英俊衆院議員、野上浩太郎、堂故茂の両参院議員らが祝辞を贈った。

 うなづき宣言では、温泉街の若手や子育て世代、宇奈月中生が壇上で「自然と共生し、人とつながり、心のぬくもりの泉となる宇奈月温泉を受け継ぐため、自ら考え、共に活動する」と声をそろえ、「さっ行くぞ。」のキャッチフレーズを掲げた。年度末までに新たな魅力創造などアクションプランを立案、提言する。

 中村裕一市議会議長の音頭で万歳三唱した。

  ●ゆかりの経済人、懇親を深める

 宇奈月ゆかりの経済人らを迎えた祝賀会も開かれ、約200人が開湯100周年記念酒や地場産品尽くしの御膳を味わいながら懇親を深めた。

 式典で顕彰された山田胖技師の孫龍一さんが祝辞を述べ、川上浩県議の音頭で乾杯、いずれも宇奈月出身の魚津彰YKK AP社長、佐々木経世イーソリューションズ社長らがスピーチした。

 宇奈月温泉は黒部川の上流にある黒薙(くろなぎ)温泉から湯を引き、1923(大正12)年11月に開湯した。バブル期には年間約60万人が宿泊、北陸新幹線開業時には約37万人だったが、新型コロナウイルスの影響で落ち込み、昨年は約25万人だった。

万歳を三唱する式典出席者

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