防弾チョッキ、AEDなし 岐阜の陸自訓練、安全対策影響も

射撃場のフェンスに供えられた花=15日午前、岐阜市

 岐阜市の陸上自衛隊射撃場で隊員3人が死傷した小銃発射事件で、射撃訓練の参加者全員が防弾チョッキを着用しておらず、自動体外式除細動器(AED)も携行していなかったことが19日、陸自への取材で分かった。陸自はルールに反する対応ではなかったと説明しているが、こうした装備が整った態勢であれば、被害を軽減できた可能性もある。

 陸自によると、菊松安親1等陸曹(52)は胸部、八代航佑3等陸曹(25)が脇腹を撃たれ、いずれも病院に運ばれたが、間もなく死亡が確認された。

 陸自では、戦闘を想定した訓練の場合、防弾チョッキを着用するのが一般的だが、今回の候補生を対象とした射撃訓練など、基本的な内容では着用しないという。AEDは駐屯地の医務室などに置かれており、隊員の心肺機能に負担がかかると想定される訓練では携行するとしている。

 事件は14日午前に発生。射撃訓練が始まった直後に、自衛官候補生の男(18)が「89式5.56ミリ小銃」を3人に向けて発射。2人が死亡、原悠介3曹(25)が左脚に重傷を負った。

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