希少ワシと列車の事故防げ エサのシカ死骸覆うシート開発

JR花咲線の線路を横切るエゾシカの群れ=2015年、北海道根室市(JR北海道提供)

 絶滅の恐れがあり、国内では北海道を中心に生息するオジロワシやオオワシが、列車や自動車と衝突する事故が相次いでいる。同じく事故に遭ったエゾシカの死骸を食べようと集まることが原因とみられ、環境省とJR北海道などはシカの死骸を覆い隠し、その後の回収も容易にするシートを開発。2023年中に実証試験を始める予定だ。

 2種は種の保存法で国内希少野生動植物種に指定。22年度に事故に遭遇したのは計24羽で、うち列車とオジロワシの事故は13羽と、00年度に統計を取り始めて以降最多だった。

 背景と考えられるのがエゾシカの増加や生息範囲の広がり。推定生息数はここ数年増加傾向で22年度は69万頭。事故は列車で2881件(22年度)、自動車で4480件(22年)と多発した。

 JR北海道によると、列車がシカと衝突した場合、死骸は運行に支障がない場所まで移動させた上で運転を再開する。死骸が回収されるまでの間に、猛禽類のワシがエサにありつこうと飛来し、事故につながっていると同省は分析する。

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