夜は真っ暗、狭くてデコボコ…この県道どうなってるの? 管轄する神戸市、2年近く「改善進まず」

穴だらけの県道長坂垂水線=神戸市垂水区多聞町と同市西区伊川谷町長坂の境界付近(撮影・中西幸大)

 県道であるにもかかわらず未舗装で幅も狭く、デコボコの激しい県道488号長坂垂水線の一部区間について、「神戸市が改善に乗り出すと聞いたが何も変わっていない。どうなっているの」という声が、神戸新聞の双方向報道「スクープラボ」に寄せられた。早速現場を確認したところ、変わっていないどころか、デコボコの激しさが増したようにも感じた。どうなっているのか、神戸市に取材した。

車は通り抜け不可

 問題の区間は神戸市西区伊川谷町長坂の住宅地と、大規模店が立ち並ぶ同市垂水区多聞町の境界部分。未舗装で夜は真っ暗なため、神戸市は2021年夏、車両の通り抜けをできなくする一方、自転車や歩行者のために舗装し、街灯も設置するという方針を住民らに説明した。

 だが、2年近くがたっても、工事が始まる気配がないという。6月初旬、車で現場を訪れた。

 垂水区側の商業地から神戸西バイパスを西へ走り、脇に折れると間もなく、未舗装部分が現れる。「未舗装区間あり 走行注意」「道路幅員2メートル 通行注意」の立て看板が目に入る。

 工事現場への進入路にしか見えないが、これでも立派な県道だ。路面には深さ15センチはあるすり鉢状の穴が連続し、車は激しく上下する。さらに進むと、道幅が車1台分程度にまで狭まり、しかも深い水たまりがあちこちにできていた。

 自転車で通学したり、塾に通ったりする学生や、徒歩で買い物などに向かう住民の利用もある。だが、街灯がないために夜は真っ暗で、野犬の出没や不法投棄などが問題になったこともあったらしい。

せめて舗装は

 未舗装区間を抜けた先は住宅地で、中央分離帯も路側帯もない生活道路が続く。地元からは「県道が舗装されると商業地への通過交通が増え、住環境が悪化する」という懸念が寄せられているという。

 未舗装部分を車や自転車でたまに利用するという女性(30)は「車が増えて『危ない』と思う人たちの気持ちも分かるので、車を通れなくするのはやむを得ない。どちらにしろ、道路の状態があまりにも悪いので、せめて舗装は早くしてほしい」と話す。

 この県道は政令市である神戸市が管轄している。市西建設事務所の担当者は「通行止めや舗装、街灯設置の方針は変わっていないが、何も進んでいないように見えるのは当然かもしれない」と認める。

 県道部分を不法占用する形で建てられた建物があり、撤去を求める交渉に時間を要したという。担当者は「撤去の見通しは立っている。沿線の権利者や住民に再度説明し、23年度中に着工したい」としている。

 また、路面のデコボコの補修については「年に4回、定期的に砂利を入れているほか、状況を見ながら対応している」と説明している。(森本尚樹)

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