夫の遺志継ぎ「地域の力に」 医師・原野さん、小城市に3000万円寄付 防犯、公民館整備での活用希望

寄付金の目録を江里口秀次市長(左)に手渡す原野裕子さん=小城市役所

 小城市芦刈町の医師原野裕子さん(70)が、二人三脚で歩んできた夫・清さん(享年79)の遺産から3千万円を市に寄付した。地元の防犯機能向上と公民館整備での活用を望み、「夫の生きた足跡を形に残し、芦刈の役に立てれば」と願った。

 昨年11月に亡くなった清さんは、同町の「徳富医院」を運営する医療法人六科(りっか)会の理事長と、特別養護老人ホーム「あしはらの園」の理事長を務めるなど、地域の医療・福祉の向上に力を注いだ。後を引き継いだ裕子さんは亡夫の思いを胸に、「町の役に立ちたい」と清さんの遺産の中から寄付を決めた。

 同町は人口減少と高齢化が地域課題になっている。牛王駐在所を中心に防犯カメラ設置の取り組みが進んでおり、裕子さんは「子どもたちや高齢者の見守りなどのために役立てて」とカメラ設置に寄付金を充てることを希望する。「足の不自由な人を含め、全世代の人が集まりやすい公民館になってほしい」と、町内23カ所の自治公民館のエントランスや水回りなどの整備も望んだ。

 13日に市役所で開かれた贈呈式で目録を受け取った江里口秀次市長は「大切に使わせていただきます」と感謝した。裕子さんは「寄付金が地域の力になれば幸いです」と話した。(市原康史)

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