飲酒運転の悲劇、犠牲者の等身大パネルで訴え 八街児童5人死傷事故2年 千葉市でメッセージ展

元紀さんのパネルの前で、事故について説明する岩崎さん=千葉市美浜区

 八街市で下校中の小学生5人が飲酒運転の大型トラックにはねられ死傷した事故は、28日で発生から2年が経過する。飲酒運転が引き起こす悲劇を再認識してもらおうと、飲酒運転の事故で犠牲になった10人の写真や遺品を等身大パネルとともに展示する「生命(いのち)のメッセージ展」が17日、千葉市美浜区の自動車事故対策機構千葉支所で始まった。7月1日まで。

 同機構は交通事故被害者の支援などをしており、千葉支所でのメッセージ展は3回目。全国でメッセージ展を開いているNPO法人「いのちのミュージアム」(東京都日野市)の協力を受け今回も開催した。

 中村雅一支所長(52)は「犠牲者の無念やご遺族の悲しみを感じ取り、ハンドルを握ることの責任の重さと命の重さを再確認してほしい」としている。

 同法人理事の岩崎悦子さん(72)の三男、元紀さんは2002年1月、バイクで走行中に飲酒運転のワゴン車に追突され19歳の若さで亡くなった。ワゴン車の男は泥酔状態で、元紀さんは約90メートル引きずられたという。

 岩崎さんは「『いってらっしゃい』と送り出した4時間後に元紀は事故に遭った」と説明。「こんな悲しい目に遭うのは私たち家族で最後にしたい、その一心で活動している。一人でも多くの人に残された家族の悲しみ、苦しみを知ってもらいたい」と声を詰まらせながら訴えた。

 21年6月の八街事故も、子どもたちが酒を飲んだ男の運転する大型トラックにはねられた。岩崎さんは「大人の身勝手で子どもの未来を奪ってしまった」と指摘する。

 元紀さんのパネルには笑顔の写真や靴、悦子さんのメッセージが添えられ、生前の元紀さんの人柄や夢なども紹介されている。三男のパネルの前で、岩崎さんはハンドルを握るドライバーに「自分だけは事故を起こさないと思わないで。誰でも被害者にも加害者にもなり得る」と呼びかけた。

衝突した電柱は折れ曲がり、事故は起こしたトラックは畑に突っ込んだ=2021年、八街市

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