強制不妊、初の国会報告書 別手術と偽り、件数増

調査報告書を細田衆院議長(中央)に手渡す三ツ林裕巳衆院厚生労働委員長。左は海江田副議長=19日午後、国会

 旧優生保護法(1948~96年)下で障害者らに不妊手術が強制された問題について、国会の初の調査報告書がまとまった。衆参厚生労働委員長が19日、両院議長に提出した。国が別の手術と偽ることを許容し、都道府県に件数を増やすよう求めるなど、国策により「子どもを産み育てる権利」が奪われた被害実態が改めて浮き彫りになった。旧法の立法経緯を盛り込んだものの、国や国会などの責任の所在については明確にしていない。

 被害者の最年少は9歳。尾辻秀久参院議長は報告書を受け取り「このような事態が二度と繰り返されることのないように、われわれ一人一人が重く受け止めていかなければならない」と述べた。

 自治体には6550人分の記録があった。児童施設では複数の入所者分をまとめて申請。福祉施設の入所や結婚の前提条件とされたり、盲腸の手術とだまして受けさせたりした事例が確認された。旧法が禁じた放射線照射や子宮摘出も報告された。厚生省(当時)は、別の手術と偽る「欺罔の手段を用いることも許される」と通知していた。

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