「エフエムあまがさき」の灯を消すな! 3月末閉局、復活へ資金調達 「矢野・兵動」の矢野さんもエール

イベント会場でクラウドファンディングをPRする矢野勝也さん(中央)ら=尼崎市西長洲町1

 3月末に閉局した兵庫県尼崎市のコミュニティーFM「エフエムあまがさき」の事業継承に向け、パーソナリティーらでつくる一般社団法人とネッツトヨタ神戸(尼崎市)がクラウドファンディング(CF)に挑戦している。「地域密着のラジオの灯を消したくない」との必死の訴えに、地元出身の芸人も賛同。動画投稿サイトなどで「みんなで復活させ、尼崎を盛り上げよう」とエールを送る。CFは6月末までで、運営に充てる2千万円を目標としている。(広畑千春)

 エフエムあまがさきは、阪神・淡路大震災で被災者への情報が不足した教訓を基に、市などが1996年10月に開局。市総合文化センター(昭和通2)にスタジオを設け、人気番組を生放送するなどしてきた。しかし、スマートフォンの普及などで聴取率が低迷。市は毎年、運営主体の市文化振興財団に年4千万円の業務委託費を支払ってきたが、2022年6月、年度限りでの打ち切りを発表した。市からの補助金が収入の約7割を占めていたため、同財団は放送の質を保つのは難しいと判断し、23年3月に閉局。総務省に休止届を出した。

 一連の動きの中、民間の手で何とか存続させようとパーソナリティー有志や市民らが奮起。22年10月に一般社団法人「みんなのあま咲き放送局」を設立し、緊急時への備えや地域情報の発信手段継続を訴えてきた。支援者を募ると、コープこうべ(神戸市)が手を挙げ、スタジオのめどが立った。機材も同財団から無償で借りられることになった。残るは約2千万円の運営費のみとなった。

 そこに今年2月、ネッツトヨタ神戸が協力を申し出た。同社では尼崎市と防災協定を結ぶなどしており「車の販売や整備だけでなく、地域のためになる存在になることが会社の未来にもつながる」と岡崎英徳取締役(56)。若手社員を中心にCFサイトを立ち上げ、5月下旬から募集してきた。

 顧客でもあり、同市出身で「ガサキのパイセン(尼崎の先輩)」のネタで知られる人気漫才コンビ「矢野・兵動」の矢野勝也さん(52)にも応援動画への出演を打診。矢野さんは「何度か番組に出て愛着もある。なくなるのはもったいない」と二つ返事で引き受けたという。

 寄付は1口3千円から。個人・企業のサポーターも引き続き募集する。エフエムあまがさきで人気コーナー「みやけなおこと尼人達」を届けてきた三宅奈緒子さん(44)は「21年取材してきて、魅力的な『尼人』に大勢出会えた。もっと輝ける、住民がつくる住民のためのラジオにしたい」と意気込む。矢野さんも「補助金頼みではなく、ラジオにしかできない見せ方を磨き、本当に面白い番組を作るのが大事。そのためなら何でもしまっせ!」と力を込めた。

 CFは専用サイトの「KONOMACHI」から。寄付額によってオリジナルCMの放送や生放送への出演などができる。

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