放置竹林、神戸で毎年15~30ha拡大 歯止めの里山整備へ、竹の粉砕機貸し出し チップやパウダーにして活用

神戸農政公社が貸し出す「チッパーシュレッダー」=神戸市西区(神戸農政公社提供)

 里山の生態系に悪影響を及ぼし、各地で土砂崩れの危険性が指摘される「放置竹林」の解消を目指し、神戸市外郭団体の神戸農政公社(神戸市西区)は、伐採した竹を粉砕する機械「チッパーシュレッダー」の貸し出しを始めた。担当者は「加工後のチップやパウダーは肥料などになる。活用を広げ、里山の整備につなげたい」としている。

 竹はイネ科タケ亜科に属する多年生植物。生い茂ると日光を遮り、他の植物が枯れる原因となる。竹の根は浅く地盤を支える力は弱いため、土砂災害を引き起こす恐れも高まる。

 同市農政計画課によると、市内の竹林の推定面積は約千ヘクタールに上る。近年、集落近くの竹が放置されて分布が広がり、年15~30ヘクタールのペースで拡大。地主の高齢化や後継者不足で整備が行き届かないケースが目立つという。タケノコが約10メートルの成木になるまでの期間は数カ月と成長は速く、日陰がたちまち広がる一方、寿命は短くて立ち枯れも起こしやすい。

 同公社は2023年2月、市の事業者の脱炭素を支援する補助金を使って、農家への貸し出し用に最新型シュレッダーを購入。竹は粉や数センチ大のチップに粉砕できる。チップを農地にまけば雑草を抑制でき、竹パウダーは生ごみと混ぜて堆肥にもできる。

 貸し出し対象は神戸市在住者や市内の竹林所有者、市内の自治会などの代表者らで、料金は1回5千円~。希望者は、同公社ウェブサイトから所定書類をダウンロードし、必要事項を書いて利用希望日の14日前までに同公社に提出する。貸し出し期間は原則金曜~翌週火曜の5日間。

 積載量0.5トン以上のトラックで引き取るほか、運転免許証での本人確認、作業実施位置図の提出が必要。その際、操作法を説明する。同公社TEL078.991.1557 (三宅晃貴)

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