イノシシの侵入防げ 金沢・卯辰山の花菖蒲園 市、防護ネットや監視カメラ

イノシシに土を掘り返された場所=昨年10月(金沢市提供)

 金沢市は19日までに、卯辰山公園花菖蒲(しょうぶ)園のイノシシ被害対策を講じた。昨年、ハナショウブの土を掘り返される被害が多発したことを受け、イノシシの侵入を防ぐために防護ネットを張り、監視カメラを設置して映像で経路を確認できるようにした。今後は全域の土壌改良も行う予定で、気品あふれる花の名所を守る。

 卯辰山公園花菖蒲園は1982年、金沢400年記念事業で開園した。約7千平方メートルの敷地にハナショウブ100品種約20万本とアジサイ約2900本が植えられている。

 今年はいずれも既に見頃を迎えたが、花を咲かせたハナショウブは例年より3割ほど減った。原因は昨年、開園以来初めて大規模に発生したイノシシ被害だった。

 市緑と花の課によると、昨年夏から秋にかけ、イノシシが餌のミミズを探してハナショウブの土を掘り起こす被害がほぼ全域で確認された。荒らされた土を整えても、また別の所を掘られた。アジサイの生えている場所は土が固く、被害はなかった。

 同課は今年度、イノシシの侵入を阻止しようと、延長285メートルに及ぶ防護ネットを張った。通過ルートを映像で確認するため、センサーで動くものを感知して録画する監視カメラを14カ所に設置した。来園者向けには看板、地図を掲示し、注意を呼び掛けた。

  ●餌のミミズ抑制、全域で土壌改良

 課によると、イノシシ被害は19日時点で確認されていない。新たな対策として、8月中旬までに一部のハナショウブの土を入れ替える。土は年数がたつほどミミズが生息しやすいため、3、4年がかりで全域の土壌改良を行う。

 ハナショウブの見頃は7月上旬まで続く。課の担当者は「毎年楽しみにしている人も多く、維持管理、保全に努めたい」と話した。

見頃を迎えたハナショウブ=10日、卯辰山公園花菖蒲園

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