【千葉魂】守護神はマイナス思考? 益田、逆算と勇気で大台突破 千葉ロッテ

通算200セーブを達成し、吉井監督(右)と記念写真を撮る益田

 指揮官は抑え投手の適正の一つとしてマイナス思考を挙げる。6月16日のベイスターズ戦(横浜スタジアム)で史上10人目の200セーブを達成した益田直也投手についても、ここまでの成功を支えているのはマイナス思考だと吉井理人監督は言う。

 「彼は基本的にマイナス思考。その登板において一番最悪の事から逆算してマウンドに向かっている。そうならないためにどうすべきか。その考え方が結果的に成功を生む。イケイケの野蛮な勇気だけでは務まらないポジション。まあ、ワシが現役時代にストッパーを務めていた時はそうだったけどね。いい時はいい。悪い時はアカン。それではダメ」

 吉井監督は記録を達成した時に、そのような言葉で背番号「52」を評した。試合後、「おめでとう」と言って記念のボードを手渡すと、「次は400セーブやな」とハッパをかけた。

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 マイナス思考について益田は「日常生活では決してポジティブではないですけど、マイナス思考ではないですよ」と笑う。プロの世界に入って失敗経験を重ねながら、徐々に現在の思考に到達した。

 「後ろを任せてもらうようになってからはそうなりました。まず、絶対にやってはアカンことを頭に思い描く。長打だけはダメとか、四球はダメとかケースによっていろいろあるけど、まずそれを考えて、じゃあ、そうならないためにはどうすればいいかとなる。もちろん、そんな風に考えても、ダメなことをしてしまうこともありますけどね」と益田。

 誰よりもストッパーの重要性を知っている。映画を見ている時にいつも思うことがある。「この素晴らしい映画もラストシーンがダメだったら、作品自体がダメだと評価されてしまう。それは試合の最後を任されるストッパーに似ている。みんなが作り上げてきたものが最後の最後、一瞬で消えてしまう。映画を見ている時にいつもそんなことを考えてしまう。これはマイナス思考なのかな」。娯楽として映画を見ているときに自身の仕事とダブらせてしまう益田はまさに天性のストッパー。どんな時もマイナス思考を持ち合わせている。

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 マイナス思考について吉井監督は「マイナス思考ではあるけど、こうしたら、そうはならない、だから、こうしようと強い気持ちで実行できる勇気はある。ただのマイナス思考なら弱気になって逃げて終わり。その心の強さ、勇気を持っている」と目を細める。

 現在、益田はパ・リーグのセーブ王争いのトップを走っている。好調のチームにあって、安定感あふれる守護神の存在は絶大だ。ただ目標は個人記録ではなく優勝。「とにかく、このチームで、このメンバーで優勝がしたい。その想いだけ」と益田。胴上げ投手になるためにマイナス思考でマウンドに上がり、最善手で試合を勝利に導き続ける。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

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