防災×まちづくり 豪雨被災地の生徒が地域の災害リスク学ぶ 12人犠牲の広島・呉市 天応地区

西日本豪雨の発生からまもなく5年です。大きな被害を受けた広島県呉市・天応地区には4月、小中一貫校ができました。豪雨を経験を忘れないよう、生徒たちが地域の災害リスクについて考えています。

呉工業高等専門学校 学生
「避難経路が安全に通れるか。危ない場所、ほかに通れる道はないか、踏査します」

この春、開校した呉市の天応学園。地元の小学校と中学校が統合した9年制の義務教育学校で今、力を入れているのが、「防災×まちづくり」教育です。

生徒たちは、グループごとに分かれ、地区ごとの災害での危険箇所を調べるため、現地に向かいました。

2018年7月、広島県内を襲った西日本豪雨…。降り続いた大雨の影響により、天応地区だけで12人が犠牲となりました。当時、中学校の校庭にも大量の土砂や流木が流れ込みました。その後、生徒たちは、近くの小学校の校舎を借りて、授業を受けるなど、被災前とは一変した生活を送ってきました。

災害発生からまもなく5年…。地元の要望をもとに建てられた天応学園は、避難所としても対応できるようシャワールーム・バリアフリーのトイレなどが完備されています。

RCCウェザーセンター 末川徹 気象予報士
「扉を開けると、広いスペースがあって、段ボールが積み重なっています。生活に必要なあらゆるものが、取りそろえられています」

天応地区は、まわりを山や川などに囲まれています。

呉工業高等専門学校 学生
「こういう場所が危ないので、写真を撮って記録できるように」

呉高専の学生が案内役を務め、生徒たちは通学路を歩きながら、危険個所を探します。

天応学園の生徒
「(川幅は)車が落ちるか、落ちないかくらい。(豪雨では)小さい石が車ぐらいのスピードで流れた」

近くの別の場所では…

天応学園の生徒たち
「石が、雨が降ったときに地盤が緩くなって落ちてきそう。勢いでここまで流れてきそうだから危ない」
「避難経路として使う人も多そう」

土砂災害や氾濫など災害別に応じた避難経路を検討すべきか、子どもや高齢者が避難するときに困らないかなど、あらゆる事態を想定して話し合っていました。

天応学園の生徒たち
「土砂崩れ・氾濫しそうな場所をみんなに伝えたい」
「前回(の豪雨で)、家にいる人も多かった。(状況に応じて)避難所に行くことも呼びかけたい」

自分や家族の身の安全を守り、2度と悲劇を繰り返さないために…。生徒たちは、西日本豪雨が発生した7月6日、今回の調査で得た結果を発表する予定です。

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