クリープハイプ・尾崎世界観の芥川賞候補作『母影』、待望の文庫化! 解説:ピース又吉「このような無垢な覚悟だけに触れて私は死んでいきたい」(新潮文庫より7月28日発売)

ロックバンド「クリープハイプ」のボーカル・ギターで、小説やエッセイの執筆活動も注目される尾崎世界観。 その2020年に芥川賞候補になった話題の中編小説『母影』(おもかげ)が、いよいよ新潮文庫に登場する(詳細はこちら)。 文庫版には、お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹による解説を収録。芥川賞作家でもある又吉が熱く綴った約7000字の大作だ(新潮文庫 8月新刊/7月28日発売)。

〈となりのベッドで、またお母さんが知らないおじさんをマッサージして直してる。〉

〈私はいつも手前のベッドにもぐりこんで、カーテンだけを見てる。〉

〈私はわかった。二人はカーテンの向こうで恥ずかしいことをしてる。〉

小学生の「私」の視点で、マッサージ店で働く母の秘密と社会の歪(いびつ)を見つめた、尾崎世界観の中編小説『母影』。 2020年に純文学文芸誌「新潮」12月号に掲載後、芥川賞候補に選ばれ、翌年1月に書籍刊行されるや続々重版も果たした話題作だ。

そして今夏、満を持しての文庫化では、尾崎さんの強い希望で又吉直樹に解説をオファー。依頼を受けた又吉は、『母影』に全身で向き合い、熱のこもった約7000字の大作解説を寄稿した。 その一部を紹介すると、

〈『母影』は、冒頭から結末に至るまで、神経の行き届いた言葉が丁寧に重ねられていく。

言葉を最大限に駆使し、純文学を書く、ということから一切逃げていない。

このような無垢な覚悟を感じさせてくれるものだけに触れて私は死んでいきたい。〉

(又吉直樹『母影』解説より)

尾崎が受け取った又吉からの熱烈な“エール”、ぜひ文庫で物語と共にお楽しみいただきたい。 『母影』文庫版は全国の書店、各ネット書店にて予約受付中。

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