「不妊治療」支援を強化へ 兵庫県が検討会を立ち上げ 今夏に実態調査

第1回会議で不妊治療の支援の在り方について考える委員ら=兵庫県庁

 兵庫県は20日、「不妊治療支援検討会」を立ち上げ、第1回会議を県庁で開いた。産婦人科医や助産師、行政関係者ら委員12人が、治療を受ける当事者への心理的ケアや若い世代に対する啓発の必要性、治療施設が都市部に偏っている課題などを巡って議論。県は7月、当事者や県内全ての産婦人科などを対象に、医療費や受診環境、相談体制について実態調査し、新たな支援策の検討に生かしたい考えだ。

 県は夫婦そろって不妊検査を受ける場合の「ペア検査助成」などに取り組んでいるが、検討会では不妊治療を望む人が受けやすい社会に向け、さらなる支援策を話し合う。会長には産婦人科医の柴原浩章・兵庫医科大主任教授が就いた。

 斎藤元彦知事は冒頭「待合室などの環境整備や心理的負担のケア、企業や社会の理解も広げていきたい」とあいさつ。会議は冒頭以外は非公開で、県によると、働きながらでも治療を受けやすい環境づくりや、遠方に通院する場合の交通費助成などの案が出された。

 会議後、柴原会長は「若いうちから自分の体を把握する『プレコンセプション(妊娠前)ケア』への支援も大事だ」と指摘。不妊など個人の体の情報が社会的な選別につながらないよう呼びかける議論もあったという。

 実態調査は、県健康増進課が県内の産婦人科197機関と泌尿器科158機関、41市町、当事者らに実施。その結果を受けて検討会は8、9月に話し合い、今秋にも県への報告書をまとめる方針。(金 慶順)

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