福井県が376億円の補正予算案を発表 省エネ家電に「ふく割」、男性育休で奨励金…最大規模予算の使い道

2023年度6月補正予算案を説明する杉本達治知事=6月21日、福井県庁

 福井県は6月21日、2023年度6月補正予算案を発表した。一般会計は376億600万円で、24年春の北陸新幹線県内開業の準備、物価高騰対策、結婚・出産・子育て応援策などが柱。知事選を控えた年度当初の骨格予算に政策的な新規事業を付け加える「肉付け予算」としては、過去20年間で最大規模となる。23日開会の定例県会に提案する。

 補正後の一般会計の総額は5236億7200万円で、22年度当初比2.4%増。杉本達治知事は21日の記者会見で「2期目の県政をスタートするに当たっての非常に重要な予算。新幹線開業準備の総仕上げ、子育て支援と人口減少対策、物価高と電気代高騰に苦しむ事業者や県民への支援に特に力を注いだ」と述べた。

 主要事業は209事業で、新規109事業、拡充86事業。新幹線開業対策は66事業で、約20億円を計上した。観光地周遊の定額タクシーなどを導入する市町への支援事業に約2100万円を充てるなど2次交通を充実。来春の開業に合わせ大手マスメディアと連携して、首都圏で恐竜王国福井をPRする事業に8500万円を盛り込むなど、誘客促進にも力を入れる。

 物価高対策は、国から配分のあった地方創生臨時交付金39億円を活用。交通事業者や医療機関、福祉施設の電気料金・燃料価格高騰分、LPガス使用事業者などへの支援に28億2500万円を計上。省エネ性能の高いエアコン、冷蔵庫に買い替えると2万円割り引く電子クーポンを発行する事業に4億4100万円を盛り込んだ。

 結婚・出産・子育て応援などの人口減少対策は11億円を計上。新婚世帯の生活費負担を軽減する国の制度に県独自の支援金を上乗せする事業(1億100万円)で若い世代の結婚を後押し。男性従業員が通算15日以上の育児休業を取得した企業に奨励金を支給する事業(2億8400万円)で、県内企業に男性の長期育休を推奨する。

 歳入は法人事業税60億円を計上したほか、国の交付金や交付税率の高い起債の活用、前年度からの繰越金17億円などで対応。財政調整基金を取り崩さず、「健全財政を維持している」(杉本知事)とした。

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