オオムラサキ羽化したよ 茨城・常陸大宮の緒川小児童観察 幼虫発見 成長願い自然に返す

羽化し自然に返されたオオムラサキ

待ってたよ、オオムラサキ-。茨城県常陸大宮市上小瀬の市立緒川小(斎藤慶一郎校長)で、同校児童が3月から観察を続けてきた国蝶(こくちょう)のオオムラサキ1匹が羽化した。3年生18人が15日、成長を願いつつ、校庭近くのエノキの木付近で自然に返した。

オオムラサキは、羽に鮮やかな青紫色の文様があるのが特徴で、国内に広く分布し、雑木林の中にあるエノキの木を好む。幼虫の姿で越冬し、春先にエノキの木の上に登り、その葉を食べ成長する。1957年に日本昆虫学会に国蝶に指定されたが、現在は準絶滅危惧種になっている。

オオムラサキの観察は、今年3月、科学クラブの児童が、校門脇にあるエノキの下の落ち葉に幼虫3匹を発見したことがきっかけ。3年生の教室近くの共有スペースにエノキの木を置き、児童たちは、幼虫からサナギになり、羽化するまでの過程を観察し続けた。

今月14日朝、そのうちの1匹が、サナギの中の羽が透けて見え、羽化が間近に迫っている兆候が表れた。児童たちはタブレットで撮影するなど、羽化の瞬間に期待を膨らませていたが、いつ羽化するか分からないため、タブレットを固定して斎藤校長らが職員室で様子を注意深く見守った。

すると、午前10時15分ごろ、サナギが割れ始め、その部分からチョウの背中や頭が見えてきた。逆さまで体が全部出た後、ひっくり返り、上向きに体の向きを変えた。羽化したオオムラサキは、特徴から雄と分かった。児童たちも羽化の瞬間を目の当たりにし、歓喜の声が上がった。

児童の手のひらと同じくらいの大きさに育ったオオムラサキを無事自然に返し、児童たちは笑顔で見送った。同小3年、葛西綜太郎君(8)は「羽化する様子を初めて見れて、うれしかった。もっといろいろ調べてみたい」と喜んだ。児童たちは、残る2匹についても観察を続けていくという。

斎藤校長は「生命の貴重な場面に立ち会い、感動することで何か心に残ってくれたらいい。自分たちが住んでいる豊かな自然環境を、誇りに思ってほしい」と話した。

羽化したばかりのオオムラサキを自然に返す緒川小の3年生=常陸大宮市上小瀬

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