「短絡的な動機で犯行に」懲役20年求刑 京都・宮津の薬局経営者殺害事件

京都地裁

 京都府宮津市で2021年に薬局経営の男性が刺され死亡した事件で、殺人などの罪に問われた無職木下恭章被告(61)の裁判員裁判の論告求刑公判が22日、京都地裁(川上宏裁判長)であった。検察側は「短絡的な動機で犯行に及んだ」として懲役20年を求刑。弁護側は心神喪失状態だったとして無罪を主張し、結審した。判決は7月7日。

 起訴状によると、21年9月23日午前10時50分ごろ、宮津市鶴賀の薬局の駐車場で同店経営の男性=当時(50)=の背中をバタフライナイフで刺した。さらに男性を追いかけて近くの病院玄関付近で左胸などを複数回刺し、死亡させたとしている。

 検察側は論告で、木下被告は事件前、男性から飲み会の費用負担を巡って文句を言われたため腹を立てたと指摘。ナイフを購入するなどし、男性に対して危害を加える可能性を事前に認識していたと主張した上で、「言動は正常心理として理解でき、完全責任能力があった」とした。

 弁護側は、覚醒剤による精神障害の影響で善悪を判断する能力が欠けていたなどと述べた。仮に心神喪失が認められなくても心神耗弱にあたると訴えた。

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