札幌の繁華街ススキノの現状は?コロナ5類移行で復活なるか

今回のテーマは札幌の繁華街ススキノ。コロナ禍で大きなダメージを受けたが、コロナの5類移行で復活をとげたのだろうか。TVhアナウンサーの中村秋季乃アナと、北海道大学の平本健太教授が現状を取材した。

【焼き鳥バトル!? 地場チェーン「串鳥」と全国チェーン「鳥貴族」】

新型コロナウイルスが広がりだした3年前は客足が完全に途絶えてしまっていた。今は人通りが増え、ほぼ元の状態に戻ったようにも見える。

平日でもススキノには多くの人が

まず訪れたのは、北海道の焼き鳥チェーン「串鳥」。5類移行とともに観光客が増え、インバウンドの客も多いのだという。

商品へのこだわりは“焼き”。各店舗にいる「焼き手」と呼ばれる職人は、全員正社員だという。焼き手の数は現在、100人ほど。30年近く働いている人もいて、技を競うコンテストも行っているという。

仕込みの工場も見せてもらった。原料は全て国産。うまみを逃がさず店舗に持っていくという方針から、凍るか凍らないからのぎりぎりの温度で管理するのがこだわりだ。

ハツやレバー、砂肝といった柔らかいものは、繊細な力加減が要求されることから1本1本、手で串を刺している。工場で働く人は80人ほど。10年以上働いている人も少なくない。

ことし4月には大手焼き鳥チェーン「鳥貴族」が北海道に初進出。ススキノに1号店を構えた。連日、開店前から行列ができる状況が続いているという。

鳥貴族の最大の特徴は、焼き鳥も、とり釜飯も、ビールも全品360円(税込み)。全品統一価格にすることで、会計を気にせず多くの世代を呼び込む戦略だ。

出店方針として掲げているのは、特定のエリアに集中出店するドミナントという戦略。また、札幌以外の都市にも今後順次、店舗を出していく考えだという。

とはいえ、札幌は「串鳥」をはじめとする人気の焼き鳥店も多い。地場の店との競争について、フランチャイズで鳥貴族を運営している会社の大西さんは「意識していないとは言えない。ただ、コンセプトは違う競合だと思う。札幌、特にススキノはコロナで少し沈んでしまったと思うので、共存共栄しながらススキノの活気を取り戻していきたい」と話す。

【2次会はなし?ディープなスポットめぐるツアーも】

ススキノの「美松ビル」などの管理をしている美松企業。コロナ禍で空きも出たテナントの入居率は、現状99パーセントにまで戻ったという。

入居するクラブ・スナックを訪れ、話を聞くと…「客が来る時間が以前より早まっている。終電までに帰る人も多い」「スタッフの数を維持するのも大変」などの声が聞かれた。観光客が増えている一方で、店や業態によって復調の度合いには差がありそうだ。

ススキノの店との相乗効果を狙う観光業も。星野リゾートが運営するホテル「OMO3札幌すすきの」。

ある日の夜、フロントに観光客2人の姿が。説明しているのは、OMOレンジャーと呼ばれるガイド。2人を連れて、ススキノの夜の街を巡り歩くという。やってきたのは、60年以上の歴史を持つすすきの市場の地下に広がる「ゼロ番地」というスポットだ。

星野リゾートが宿泊客向けに提供する「すすきのゼロ番地開拓ツアー」。札幌市民でも訪れることの少ないディープなスポットを観光客に知ってもらおうと企画した。

50年以上続く昭和のムードたっぷりのゼロ番地。30以上ある店舗それぞれについて特徴を説明しながら、奥へと進んでいく。雰囲気を気に入ってすぐに店に入る人もいれば、慎重に吟味して店を選ぶ人など、さまざまだという。4月中旬から開始し、これまでに100人以上が利用した。

コロナの5類移行によって、客の数は増えつつあるが、全てが元に戻るわけではない。変化に対応する工夫が求められているようだ。
(2023年6月24日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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