故郷・小松映画で盛り上げ 滝野さんが監督、脚本

小松を舞台にした映画を製作する滝野さん=北國新聞社

  ●「石切場」中心に全編ロケ

 小松市出身の滝野弘仁(ひろひと)さん(38)=東京=が、故郷を舞台にした映画「くまをまつ(仮)」の製作に乗り出した。自らの体験をもとに監督、脚本を手掛け、滝ケ原町の「石切場」を中心に、ほぼ全編小松でロケを行う。海外の映画祭に出品した後、北陸新幹線敦賀延伸後の来年中の公開を目指しており、日本遺産の認定を受けている「小松の石文化」など、故郷の魅力を国内外に発信する。

 滝野さんは早大在学中に友人の誘いでインディーズ映画の製作に参加したのをきっかけに映像の道に入った。2012年、共同監督の「もしかしたらバイバイ!」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭など国内外の映画祭で入選した。今泉力哉監督、白石晃士監督の作品や、NHK大河ドラマ「いだてん」に助監督として参加した。

  ●少年と叔母が主人公/不思議なひと夏描く

 本籍は小松市滝ケ原町ながら転勤族の家庭で育ち、小松の祖父母の家に帰省し過ごした時間が少年時代の思い出として刻まれる。昨年1月に祖父が他界したのをきっかけに、祖父母の住んだ家に3週間ほど滞在し、脚本を執筆した。8歳の少年と脚本家の叔母の2人を主人公に、不思議なひと夏を描いた作品となる。

 叔母役を俳優の平野鈴(れい)さん、少年と地元キャストはオーディションで募る。地元キャストは10人弱を想定し、金沢フィルムコミッションのホームページで参加を呼び掛けている。ロケは8月中旬から下旬に行い、スイス・ロカルノ国際映画祭などに出品した後、来年中の公開を予定する。

 単独では初の長編作品となり、21日、北國新聞社を訪れた滝野さんは「小松の魅力である石と美しい水をメインに、石切場の持つ、自然と人が交錯するような雰囲気を作品に生かしたい」と語った。

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