危機管理能力高める 富山県医師会、新会長に村上氏就任

新会長としての抱負を語る村上氏=富山市内

  ●コロナ禍で役割再確認 本社インタビュー

 富山県医師会の代議員会は22日、富山市黒崎の県医師会館で開かれ、役員改選で新会長に村上美也子副会長(64)=同市上飯野=が就いた。県内初の女性会長で、全国の都道府県医師会では3番目となる。村上氏は同日、富山新聞社のインタビューに応じ、コロナ禍で医師会の役割の重要性を再認識したとし、今後も発生しうる新興感染症や災害に備え「危機管理能力をさらに高める努力をする」と意欲を語った。

 県内の開業医や勤務医ら約1700人の会員のトップとして「県民の心と体の健康を守る。それを一番に考える医師会であり続けたい」と力を込めた。

 行政やさまざまな専門家、各医療機関の医師とつながりを持ち、連携・調整を図ることが県医師会の大きな役割と心得る。新型コロナの感染拡大に一丸となって対応してきた約3年間を振り返り「医師会の役割の大きさをあらためて感じた。きちんと調整でき、信頼される医師会でありたい」と語った。

 初の女性会長となったことについてはあまり意識していないといい「男性、女性ということで取り上げられることのない社会になるよう期待している」とほほ笑んだ。

 会長を5期10年務め、強力なリーダーシップで県医師会をけん引してきた馬瀬大助氏の後任。会長選への立候補には迷いもあったが、長く医師会の活動に携わってきた延長線上と捉え「一生懸命やってみようと覚悟を決めた」。トップとして視野を広く持ち、いろいろな立場の人の意見を聞こうと心掛けている。

 社会活動は少しずつコロナ前に戻ってきているが「コロナがなくなったわけではなく、施設や医療機関では緊張感も警戒感もある」と指摘する。新たな感染症や災害が発生する可能性にも触れ、医師会として危機管理能力を高めるため行政や医療機関との日頃からの連携、情報収集など「最初の一歩として、今あるものをもう少し密にしていきたい」と話した。

 地域医療の維持と医師の働き方改革、開業医の高齢化など課題は多い。未来を担う若手医師が安心して働ける環境を整えることも、研鑽(けんさん)を積む場を設けることも大切だとする。「一つ一つをきちんとやっていくことが、県民の健康を守る地域医療につながると思う」と語った。

 村上氏は富山市出身で富山医科薬科大(現富大)医学部卒。1995年に「むらかみ小児科」を開業、2010年に「むらかみ小児科アレルギークリニック」に名称を変更し、院長を務める。市医師会と県医師会の理事などを歴任し、13年から副会長を務めてきた。

 役員改選では副会長に南里泰弘、堀地肇の2氏を新任した。炭谷哲二氏は引き続き副会長を務める。

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