被爆語り部 早崎猪之助さん追悼展 講話に使った手書き資料、愛用品 長崎市内で8月末まで

早崎さんの足跡をたたえた南さん(右)=長崎市松山町、ヒバクシャ・コミュニティ・センター

 語り部活動に取り組み、4月に92歳で亡くなった早崎猪之助さんの追悼展が、長崎県長崎市松山町のヒバクシャ・コミュニティ・センターで開かれている。早崎さんが被爆体験講話に使用していた手書きの資料や愛用品を展示している。入場無料。8月31日までの平日午前10時~午後4時。
 早崎さんの証言を語り継ごうと、県被爆者手帳友の会が企画した。同センター入り口に、トレードマークのハンチング帽や写真、被爆体験をまとめたパネルなどが飾られている。
 早崎さんは14歳の時、爆心地から1.1キロの三菱兵器製作所大橋工場で被爆。大きな柱の陰にいて助かったが、生き残ったのは同僚32人のうち、早崎さんを含む2人だけだった。
 9日のオープニングセレモニーには次女の南和子さん(61)=同市=や会員らが出席。南さんは涙ながらに「(早崎さんの活動は)誰にでもできることじゃない。父が残した足跡は偉大で尊く、立派」と振り返り、最後は「今ごろ(天国で)お礼を言いまくっていると思う」とほほ笑んだ。
 黙とうをささげた後、早崎さんの講話を収めた動画が流れると、交流があった会員が次々に思い出を語り、しのんだ。

早崎さんの被爆体験などが掲示されている「長崎の鐘」=長崎市松山町、平和公園

 早崎さんは生前、毎月9日の午前11時2分に平和公園の「長崎の鐘」を鳴らす活動にも熱心に取り組んでいた。「長崎の鐘」には現在、早崎さんの被爆体験の英訳などとともに、長崎市在住の漫画家、西岡由香さんが描いた早崎さんをしのぶ漫画が掲示されている。

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