栃木県内、子どもの感染症増加 RSウイルス、ヘルパンギーナ...

RSウイルスとヘルパンギーナの感染報告数

 栃木県内で子どもの感染症の患者報告数が増加している。県感染症情報センターによると、県内の6月5~11日(第23週)の患者報告数は、発熱やせきなどの症状が出るRSウイルス感染症が前週比14人増の76人。夏風邪の一種で子どもに流行するヘルパンギーナは36人増の87人で、いずれも増加傾向という。県内の小児科医は新型コロナウイルスの感染対策の緩和に伴い、感染が増えているとみる。県は感染が広がる可能性もあるとして対策を呼びかけている。

 RSウイルスは発熱や鼻汁などの症状が出る。重症化するとせきがひどくなり、肺炎になる場合もある。

 同センターによると、小児科がある県内48カ所の医療機関で定点観測している患者数は、5月中旬から右肩上がりが続く。同月29日~6月4日(第22週)の1医療機関当たりの患者数は1.29人で、第23週は1.58人に増加。2004年以降、同時期に1を超えたのは21年と今年だけだった。

 ヘルパンギーナは主に乳幼児が感染し、高熱や喉に水疱(すいほう)が現れる。患者数は5月上旬から増え始めた。第22週は1医療機関当たり1.06人だったが、第23週は1.81人に増えた。

 真岡市高勢町3丁目、西真岡こどもクリニックでは5月以降、RSウイルスやヘルパンギーナ、咽頭結膜熱(プール熱)の原因にもなるアデノウイルスなどにかかった患者が増えている。同月の患者数は11年の開業以降で最多となり、今月も例年より多いという。

 仲島大輔(なかじまだいすけ)理事長(52)は「コロナ禍は三密を避ける生活で、感染症の流行が抑えられていた。現在は普通の生活に戻り、多種多様な感染症が同時流行している」と警鐘を鳴らす。

 獨協医大小児科の吉原重美(よしはらしげみ)主任教授はコロナの感染対策の緩和などで「小児特有の感染症が通常の感染状況に戻った」とみる。「冬に多いRSウイルス感染が季節に関係なく夏にも流行するようになった」と指摘。「症状があれば病院を受診してほしい。人が多い場所でのマスク着用、手指消毒や手洗いなどの感染対策が必要」と話している。

© 株式会社下野新聞社