「南極料理人」の女性 厳しい環境下で目覚めたフードロス削減 「悪魔のおにぎり」も考案

南極での経験を踏まえて食品ロス削減のヒントを話す渡貫さん(宇治市宇治・宇治商工会議所)

 南極観測隊で調理を担当した渡貫淳子さん(49)=東京都=が、京都府宇治市の宇治商工会議所で講演した。テーマは「食品ロスの削減」。食材や水の使用量などに制約が多い南極での体験を踏まえ、無理なく日頃から実践するためのヒントをアドバイスした。

 調理師の渡貫さんは2015年12月から1年4カ月間、南極観測隊に参加した。隊員30人の食事を作るにも、生野菜などは限られていた。排水は厳しい基準値があり、ごみは全て持ち帰らねばならなかった。「結果的にフードロス削減になった」と振り返った。

 余った料理は別のメニューに再利用するよう工夫を徹底した。天かすやアオサを使ったおにぎりは隊員に好評で、後に大手コンビニが「悪魔のおにぎり」として商品化した。

 価値観が変わった渡貫さんは帰国後、スーパーで山積みの総菜を目にした際、期限後は廃棄されると思って涙が止まらなくなったこともあったという。

 商品の期限の判断については「気持ちで許容できる範囲を広く持ったら」と助言した。他には、野菜の根や皮を取り除くのは最低限に▽献立は冷蔵庫の在庫から考える▽残った食材は次に何に使うかを書いて保存する-などと実践法を挙げた。

 講演は宇治商議所女性会などが主催した。オーロラやペンギンなどの映像も紹介され、25人が耳を傾けた。

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