社説:男女平等指数 縮まらない日本の格差

 世界の潮流に取り残されている日本の姿が浮き彫りになった。

 スイスのシンクタンク、世界経済フォーラムが公表した男女平等の国別順位「男女格差(ジェンダーギャップ)指数」で、日本は146カ国のうち125位だった。

 2019年の121位を下回り過去最低で、先進7カ国(G7)はもとより、韓国、中国よりも低く東アジア・太平洋地域で最下位だ。

 気候変動をはじめ複雑な現代社会の問題解決には、女性をはじめ多様な人たちの意見と能力の集結が欠かせない。

 各国が着実に格差解消に取り組む中、歩みの遅い日本の現状を見つめ直す契機にしたい。

 特に遅れているのが政治分野である。日本は138位で、より下位にはイランやアフガニスタンなど女性の社会進出に消極的なイスラム圏の国がほとんどだ。

 国政選挙の女性候補は、昨年の参院選で増えたものの、政府目標の「25年までに35%」には届いていない。岸田文雄政権の女性閣僚は2人だけで、衆議院に占める女性の割合は10%にとどまる。

 最大政党の自民党は、衆参両院の所属国会議員のうち女性は12%しかいない。今月、女性議員を30%とする目標をようやく掲げた。ただ、達成時期は「今後10年間」としておりスピード感に乏しい。野党は取り組みを進めているが、道半ばだ。

 そもそも、5年前に成立した政治分野の男女共同参画推進法で、男女の候補者の数をできる限り均等にするのではなかったのか。仕事や育児との両立や資金援助も含め、女性が立候補しやすい環境を整える必要がある。一定の議席を女性に割り当てる「クオータ制」の導入も検討すべきだろう。

 経済分野も123位と格差が大きい。世界の金融市場では投資の判断基準として企業の多様性を重視する流れが強まっている。

 政府は、今年の「女性版骨太の方針」で、東京証券取引所の最上位「プライム市場」の企業について、30年までに役員の女性比率を30%以上とする目標を明記した。着実に実行してほしい。

 教育分野でも、高等教育では科学技術や経済などの分野で女子学生が少なく、大学進学率では都市部と地方で差がある。

 男女格差は、少子化の根底にある問題とも指摘される。現金給付による経済支援だけでなく、女性の賃金や教育などの格差解消に地道に取り組むことが重要だ。

 政治の本気度が問われている。

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