【助成・手当】2023年度から大幅増額も!出産前後にもらえるお金をチェック

「子育てってお金がかかりますよね...」という声を、時々耳にします。

税金や社会保障負担はの増加、老後の年金問題など、ただでさえお財布の紐をキツくせざるを得ない現代。「ここに育児費が入ると...」と思うと、踏み出せないのも仕方ありません。

ところが、国や自治体等から出産前後にもらえるお金があることをご存知でしたか?

今回は、出産前後に活用したい代表的な制度をご紹介します。

妊娠時にもらえるお金「健診費の助成」

まず妊娠が判明したら、役所や保健所へ「妊娠届」を提出します。そして母子健康手帳が交付され、健診費の補助券などがもらえます。

この妊婦健診の助成額は自治体によって異なりますが、厚生労働省の調査結果によると、今年4月の公費負担額は調査対象の全国平均で107,792円となっています。

自治体によって差はあるとはいえ、助成回数を無制限にしたり、金額に上限を設けなかったりする方針にした自治体もあり、少しずつ手厚くなっています。まずはお住まいのエリアを調べてみましょう。

出産時にもらえるお金「出産育児一時金」

健康保険に加入していれば、出産時にもらえるお金が出産育児一時金です。

健康保険法等の改正により、2023年度からは出産育児一時金が42万円から50万円に引き上げられました。妊娠4か月(85日)以上の出産であれば、子ども1人につき、基本50万円が給付されます。

基本50万円ですが、こちらも付加給付金のある健康保険組合や自治体が増えています。付加給付金は、健康保険組合の場合3万円から数十万円まで様々。東京都港区は、1名の出産費用の実費として最大81万円まで助成していることで有名です。

東京の出産時の入院費用の平均は、42万円ではおさまらない背景があるとはいえ、有難い付加給付といえるでしょう。また、渋谷区では10万円が給付されるハッピーマザー出産助成金を設けています。

働く母親・父親がもらえるお金「出産手当金」「育児休業給付金」など

近年、共働き家庭が増加傾向にあります。会社員として働く母親のための「出産手当金」についても見てみましょう。

出産をはさんで、産前42日・産後56日の休みの間は、お給料が出ない会社がほとんどですが、その間の生活費のために、健康保険から支給されるのが出産手当金です。正社員はもちろん、勤め先の健康保険に加入している人なら、パートや契約社員でも対象です。

支払われる金額は、月給÷30日×3分の2×産休をとった日数が目安になります。また支給期間中は、健康保険料などの社会保険を支払う必要がありません。

ただ出産手当金は、勤務先の健康保険から支払われます。そのため、働いていても、自分自身の会社の健康保険に加入していない扶養枠内で働く方や、国民健康保険に加入の方は支払われないことに注意しましょう。

父親も対象の「育児休業給付金」

次にチェックしたいのが、父親も母親も対象の「育児休業給付金」。育休期間中、本人が加入している雇用保険からお金がもらえる制度です。

産休後、赤ちゃんが1歳に達するまで、会社に育児休業を申請することができますが、原則この休業期間は、お給料はもらえません。それが、180日目(6か月目)までは月給の67%、181日目からは月給の50%を休んだ期間もらえます。以前は全期間50%でしたが、男性の育休取得を応援するために増額されました。

育休期間中は、社会保険や雇用保険等は支払う必要がありませんから、手取りではお給料の約8割になります。

【執筆者プロフィール】八木 陽子

キッズ・マネー・ステーション代表/ファイナンシャル・プランナー

子育て世代のために役に立つ情報を発信するために金融商品を一切販売しないFP事務所を運営。平成29年に文部科学省検定の高等学校の家庭科の教科書に日本のファイナンシャル・プランナーとして掲載される。NHK「ウワサの保護者会」などメディア出演多数。

(ウェルなわたし/ キッズ・マネー・ステーション)

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