オズウイルス 茨城県内女性死亡 世界初 マダニ媒介か

オズウイルス粒子の電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)

茨城県は23日、同県内の70代女性がマダニが媒介するとみられる「オズウイルス」に感染し、死亡したと発表した。同ウイルスによる人の発症や死亡の報告は世界で初めてという。

県によると、女性は昨年の初夏に発熱や倦怠(けんたい)感、嘔吐(おうと)などの症状から医療機関を受診した。肺炎の疑いで抗生剤を処方され、自宅で療養していたが、症状が悪化。転院先のつくば市内の病院で、足の付け根にかみついた状態のマダニが見つかった。入院から26日目にウイルス性心筋炎で死亡した。

県衛生研究所で入院時の検体を検査し、今年1月にオズウイルスの遺伝子を検出。6月8日、国立感染症研究所の検査で同ウイルス感染症と診断された。

オズウイルスは2018年、初めて国内でマダニから発見された。これまでに千葉や大分など計6県で、ニホンザルやイノシシ、シカなどの野生動物から抗体が確認されている。マダニは主に関東以西に分布する。

人の感染については、山口県内の狩猟者から抗体が見つかった調査結果もあるが、発症例や死亡例はなかった。

現時点で有効な治療薬に関する知見はなく、対症療法のみ。感染が必ずしも致死的な状況につながるわけではないが、症状や危険性については、さらに調査が必要だという。

茨城県感染症対策課の担当者は「やぶや草むらに入る際は、マダニにかまれないように長袖、長ズボンを着用するなど、肌の露出を少なくすることが大切」と呼びかけた。

オズウイルス感染症について説明する県感染症対策課の職員=23日、県庁

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