BBQでの食中毒、キャンプでの熱中症…。レクリエーション保険はどこまで補償してくれる?

新型コロナ感染症が5類に変わり、様々な規制が解かれ始めています。恒例だった行事や事業が復活の兆しです。夏場は特に外でのレクリエーションが豊富な時期。万一のケガや熱中症、食中毒などのリスクに備えておきたいところです。

そこで、気になるのが行事やイベントでのケガを補償してくれるレクリエーション保険。どのような場合に加入したほうがよいのか、そして加入方法や付けておきたい特約を解説します。


レクリエーション保険とは

球技大会、親子遠足、海水浴、バーベキュー、キャンプ など、レクリエーション主催者が保険契約者となり、行事参加者全員を一括して補償する保険です。 レクリエーション保険として引受けられる条件がいくつかあります。

1. 申し込みをする際に、行事開催日、行事参加人数が確定していること。参加者が名簿等で把握できること。
2. 参加者全員の保険金額が同一であること。
3. 参加者の人数が保険会社の決める人数以上いること。(10名から40名程度と保険会社により違います)

条件はこのくらいで難しい規定はありませんが、家族でキャンプに行くなどのような、個人の引受は対象外です。

一般的な補償内容

この保険は傷害保険です。基本的な補償内容はどの商品でもあまり変わりません。保険期間中の事故によるケガの補償です。

・死亡・後遺障害保険金
・入院保険金
・手術保険金
・通院保険金

いずれの給付金も、事故の発生日から180日以内に発生した場合に支払対象となります。それぞれ限度日数もありますから加入の際は確認しましょう。

通院の定義は、病院で治療を受けただけではなく、往診・訪問治療、オンライン診療も対象になる商品もあります。また、ギプス固定をした場合は、通院をしない日も通院をしたとみなして、通院保険金を支払います。

補償対象となる、行事参加中の定義は、集合したところから始まり解散するまでをいいます。ただし、往復途上を補償の範囲に含めたい場合は特約をセットすることで、自宅に戻るまでに範囲を広げることができます。この特約は保険料の上乗せがありませんから、つけておくといいでしょう。

レクリエーションの保険料率は行事の内容によって違いますが、3段階に分かれている商品がほとんどです。球技を例にとると、リスクが比較的低いA料率は親子遠足や海水浴、バーベキュー、それ以外ですとテニス・バドミントン・バレーボールなどです。少しリスクの高いB料率は、キャンプ、ハンドボール・バスケットボール・軟式野球など。さらにリスクが高いC料率には、硬式野球・ラグビー・サッカーなどがはいります。リスクの高さによって保険料が変わることがわかると思います。どのくらい保険料が変わるか実際に試算してみました。

20名参加の行事
死亡・後遺障害918万円 入院日額5,000円 通院日額3,000円
A料率 1人単価 50円
B料率 1人単価237円
C料率 1人単価473円

あくまで1例ですが、行事の内容により、保険料にこのくらい差が出ます。リスクの高い行事の場合は、保険金額を調整する、参加費に保険料を上乗せするなどの工夫も必要です。

目的別で付けておきたい特約

1.熱中症危険補償特約
お天気がいいことは主催者にとってありがたいことですが、気温が上がりすぎ、猛暑日の中で開催となると、熱中症の危険が伴います。
屋外の行事、特に高齢の参加者が多い行事の場合は、この特約を付けておくと安心です。スポーツイベントにも必要です。

2.食中毒補償特約
細菌性食中毒またはウィルス性食中毒によって入院・通院が必要になった場合の治療費を支払う特約です。バーベキューパーティー、町会のお祭りなどで、飲食を提供する行事の場合は特約を付けておいた方がいいでしょう。

3.天災危険補償特約
地震・噴火・津波を補償する特約です。この保険では、基本、地震・噴火・津波によるケガは支払対象外となっていますが、この特約を付けることにより対象となります。全国各地で地震が頻発しています。屋内屋外開催場所を問わず付帯すると安心です。

医療保険、傷害保険に加入している場合、レクリエーション保険は不要?

レクリエーション保険は、傷害保険ですが、実際の治療費をまかなう目的の他に、主催者側からのお見舞という目的を持っている保険といえます。傷害保険をすでに個人で加入されている場合でも、両方の保険から保険金が支払われますので、重複していても保険料が無駄になることはありません。

傷害保険のメリットは通院補償がついていることです。個人で加入している医療保険はケガも対象ですが、入院した時のみの補償がほとんどです。ケガの治療は通院のみという場合も多いですから、傷害保険はレクリエーションに適した保険といえます。

ネット加入と対面加入のメリットデメリット

最近は、ネット申込で完結するレクリエーション保険も販売されています。
ネット加入のいちばんのメリットは、申込がいつでもできることです。主催者は何かと忙しく仕事の合間を縫って保険の窓口に出向くのはなかなか難しいもの。開催前日まで受付が可能ですから、ギリギリになってしまった場合でも保険に加入できます。保険の請求もネットで完結します。支払方法はクレジットカードに限られますが、時間のない人にはとても便利な加入方法です。

従来の対面方式、または相談はオンラインで行い、申込は郵送や対面で加入するメリットは何でしょうか。ネット完結型は、補償内容がセッティングされているので、特約の付帯は選べますが補償内容を調整することはできません。死亡保障より通院補償を充実させたい、入院と通院は同額にしたいなど、自由設計ができるのは対面方式です。1人単価の設定も自由にできるので、予算に合わせて保険が選べます。事故の際の相談がしやすいのも対面方式かもしれません。

使い勝手の良い方式で加入しましょう。

レクリエーションは天候に左右されやすいもの。キャンセルがいつまでできるのか、順延の場合、振替が効くのかなどは、各保険会社によって異なります。申込の際にしっかり確認しておきましょう。

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