【リニア】JRと東電が“田代ダム案”協議開始 水問題解決に向け前進となるか…(静岡県)

22日、リニア新幹線の工事をめぐる「田代ダム」案について、JR東海は、田代ダムを管理する東京電力との協議を開始したと発表した。「田代ダム案」が示されてから1年2か月。水問題解決に向け前進となるのだろうか。

リニア新幹線の静岡工区着工の妨げとなっている大井川の水問題。工事期間中、トンネル内に湧き出た水が静岡県外に流出することが懸念されていて、県はJR東海に対し、流出する水を含めた「全量」を大井川に戻すよう求めている。

その対策として検討されているのが、東京電力が管理する大井川上流の「田代ダム」を活用する案。この案は、トンネル工事で山梨県側に流れ出た水と同じ量をダムで取水せず、大井川に返すことで水量を確保するもので、東京電力は、協議に入る前に流域市町に対し「水利権に影響を与えないなどの前提条件について、了解を得ること」を求めていた。

これまで、その前提条件について、県や流域市町などの間で、議論が続いてきたが、3月の協議会では、協議開始を了承した流域市町が、消極的な姿勢の県に異論を唱える場面も。

(牧之原市 杉本市長)

「県は預かると言っているが、時間は長くかかっている、何回もやるのは時間の無駄、流域市町の意見は田代ダム案を進めてほしい、私は早急に進めてほしい」

そして6月14日、県は協議開始の前提条件に関して、大井川利水関係協議会から了承されたとして、東京電力との協議開始を認めるとJR東海に通知。これを受けて、22日、JR東海は東京電力との協議を開始したと発表した。

「田代ダム案」が示されてから1年2か月。協議開始を受け、23日、川勝知事は「JR東海には速やかに協議を進めていただきたい、JR東海と東京電力の協議が整い次第、県の専門部会でJR東海と対話していく」とコメントした。また、副知事時代にリニア問題を担当してきた静岡市の難波市長は、協議の開始を歓迎した。

(静岡市 難波市長)

「田代ダム案は有力な案、協議を進めていかれたらよろしい、副知事時代にも田代ダム案はいいのではないかと思っていた」「水問題については、田代ダム案で前に進むと思う、これで推移を見守ることが大事」

一方、JR東海は、東京電力との協議開始について、「大井川流域の皆様に安心いただけるよう田代ダム案の実現に向けて取り組んでいく」とコメントしている。リニア新幹線の工事着工へ妨げとなってきた大井川の水問題。今回の協議開始で解決に向けて進展していくのか注目される。

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