代役参戦の笹原右京「もやもやして何ともいえない」。トムスで公式テスト初参加もアレジに気遣い

「気持ちはすごく複雑です」

 全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦大会を終えて、ジュリアーノ・アレジに代わって36号車の残りのレースをドライブすることとなった笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)。トムスでの最初の走行となった富士スピードウェイでの公式テスト1日目を終えたメディア会見で、急きょ決まったシーズン途中からの参戦について複雑な心境を語った。

 「SUGOでのレース翌日に、チームから諸々の連絡をいただいて正式に決定となりました」と、代役参戦の経緯について話す笹原。

 自身もスーパーフォーミュラでシートを失った経験があることから、笹原はシートを得た喜びとは裏腹に、アレジへの同情の言葉を述べた。

「スーパーGTでは彼(アレジ)と組んで参戦しているので、彼の気持ちがすごくよくわかります。ですが、こういった機会はなかなかあることではないので、僕にとってもチャンスです。ですので、もやもやして何とも言えない気持ちです」と笹原。

「これからは、GTとSFというふたつのカテゴリーをプロドライバーとしてしっかり区別して、トヨタさんやチームからの期待にしっかり応えたいです」と続けた。

 トムスでのシーズン初走行となる富士公式テスト初日に臨んだ笹原はセッション1で37周、セッション2では41周と積極的に周回を重ねた。

「自分としては、フォーミュラに乗れているということが一番気持ちの入るポイントです。3カ月ぶりにドライブするSF23の感覚を取り戻して、そこからは、(周回を重ねて感じた)トムスのクルマが持つ良さと、自分が今まで乗ってきたクルマの良さをどう融合させていこうかということを取り組んでテストを進めていきました」と、TEAM MUGENやKONDO RACINGなど複数のチームのマシンに乗った経験のある笹原ならではの取り組み方でテストプログラムをこなしていった。

 初日の午後のセッション2のラスト10分で笹原はニュータイヤを投入してタイムアタックを敢行し、チームメイトの宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)のタイムを上回り、トヨタエンジン搭載車のなかでトップとなる5番手タイムを記録してみせた。

「そこはテストなのであんまり気にしていないです」という笹原。チームメイトの宮田はドライバーズランキングトップで、トムスはチームランキングで2位につけている状況のなか、次の第6戦富士に向けて、どのような走りを見せるのか。笹原の新しい挑戦が始まった。

2023スーパーフォーミュラ富士公式テスト 笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)
2023スーパーフォーミュラ富士公式テスト 笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)

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