事業費81億円上振れ 県、富山駅東の地鉄高架

高架橋の建設予定地。事業費の上振れや完成時期の遅れが明らかになった=富山市の富山駅東側

  ●205億円 完成は2年遅れ、28年度/資材、労務費高騰で

 富山県は23日、富山駅東側で進む富山地方鉄道本線高架化工事について、事業費が当初の124億円から81億円上振れし、計205億円の見込みとなったことを明らかにした。近年の資材や労務費高騰などが影響した。工程の見直しやシステムの変更が必要となったことも重なり、2026年度末までを目指すとしていた工事の完了時期も、2年遅れの28年度となる見通しとなった。

 23日に開かれた県議会予算特別委員会で、五十嵐務氏の質問に対して県側が答えた。

 工事は国の認可を受け、県の富山駅付近連続立体交差事業として行われている。電鉄富山駅から東側の1キロ区間のうち、700メートルを高架化する計画で、5月20日に起工式を行っていた。

 県によると、現場で土砂を掘削する過程で、泥の流入を抑えるための鉄板を地中に入れる際、深さ3~5メートル以降で大型の石が広く分布していることも確認された。特殊なクレーンを用いて鉄板を入れるために石を細かく砕く工程が追加され、作業にはさらに時間がかかるという。

 鉄道車両の制御システムも、当初は部分的な変更を見込んでいたが、検討の結果全て更新する必要性が出てきた。さらに、隣接する北陸新幹線の安全確保の観点から工事が夜間に限定され、経費が積み上がった。

 富山市は高架化に合わせ、駅東側を走る都市計画道路堀川線のアンダーパス(線路下をくぐる道路)を解消して平面化し、4車線に拡幅するほか、マリエとやま横には2車線の富山駅横断東線を新設する方針。ただ、市井昌彦県土木部長は、いずれも高架化後の着工となるため、完成時期は未定と説明した。

 計画では、事業費のうち5%を鉄道事業者、残りを国、県、富山市が負担することで合意しており、事業費が上振れすれば富山地鉄の負担額が増えることになる。市井部長は「県と市、富山地鉄であらためて調整したい」と述べ、経営安定化のために支援を検討する考えを示した。

© 株式会社北國新聞社