手取川七ケ用水、重文に 白山ジオの構成要件 文化審答申

重要文化財に指定される手取川七ケ用水取水施設の大水門=23日、白山市白山町

  ●大水門など3施設

 国の文化審議会(佐藤信会長)は23日、明治後期に建設された白山市鶴来地域の手取川七ケ(しちか)用水取水施設の大水門と取入口隧道(とりいれぐちずいどう)、富樫用水取入口水門の3施設を重要文化財に指定するよう、永岡桂子文部科学相に答申した。5月に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界ジオパークに認定された「白山手取川」に含まれる。石川県内の建造物が重要文化財に指定されるのは48件目となる。

  ●明治後期に建設、合口手法で最古

 手取川七ケ用水取水施設は白山、金沢、野々市、川北の3市1町の約4473ヘクタールに水を供給する県内最大の農業用水。1901(明治34)~1903年に建設された。

 七つあった取水口を一つにまとめる「合口(ごうぐち)」という手法で作られ、同様手法の施設としては国内に現存する最古のものだという。

 白山町の大水門と取入口隧道は1901年、鶴来新町の富樫用水取入口水門は1903年に建設された。

 大水門は高さ12メートル、幅4.8メートルで、石柱4本で構成する水門と木屋根付きの機械室は明治時代のまま現存している。給水口は幅19.5メートル、高さ5.8メートルで、入り口部分はレンガと石で造られ、天井部はアーチ型となっている。長さ約700メートルある隧道と合わせて保存状態がいいという。

 手取川七ケ用水土地改良区の中川晃総務課長(54)は世界ジオ認定と国重文指定の答申が出たことを喜び、「白山手取川ジオパークのテーマの一つ『水の旅』を体験できる場として、存在感を発揮していきたい」と話した。

 3施設のうち、大水門は予約すれば見学でき、白山市は小学生のジオパーク学習に活用している。23日も見学者が訪れ、手取川から勢いよく流れ込む豊かな水に目を見張った。

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