もっと自由なビールを…春日部産の「赤米」でクラフトビール製造 赤沼ロマンビール代表・筒野広康さん

地元の魅力を広めようと赤米を使ったクラフトビールを製造する筒野広康さん

 地元赤沼の赤米を使ったクラフトビールを製造、販売する赤沼ロマンビール代表筒野広康さん(71)。市内で初めて発泡酒の製造免許を取得。「赤沼ロマンビール」を提供する「マルコブルーイング」がこの春オープンした。「何百通りものスタイルがある。ローカルで喜ばれるまちづくりのビール。これが面白い」と目を細める。

 麦芽の甘味、コクとうまみに赤米のキレが加わり、口当たりはすっきり。クラフトビールならではの風味豊かな味わいを楽しむことができる。

 まちおこしの一環として30年以上にわたり、地域の小学生とともに赤米を栽培。収穫した赤米は学校給食の献立に。一部の赤米を使い、2004年からビール作りを始めた。

 クラフトビールは大麦やホップ、さまざまな副原料の配合を変え、味を表現する。「レシピを作り自分の味を表現する。手直しと検証を繰り返し味を追求する面白さが永遠に続く」

 明治時代、地元赤沼にはビール会社「マルコ麦酒」があった。戦争を通じて、いつしか「マルコ麦酒」の名は消えた。当時の資料を集め、成分や製造法を研究。麦酒復刻を目指した。ルーツに武家の歴史があり、その気概を引き継ぎ、2本のサーベルをトレードマークに用いた。

 これまで製造を委託していたため、生産量が多く苦労した。免許を取得し、自社で小ロットを製造、短期での販売が可能に。客の投票で新しいビールを作ったり、イベントやお祝いに向け、消費者といっしょに製造するなど可能性を模索する。「ここでしか作れない、ここでしか味わえない、もっと自由なビールを目指したい」と意欲を語った。

© 株式会社埼玉新聞社