報告書「納得できない」…南浦和中1自殺、遺族が会見 顧問教諭の処分求める 「息子、存在した」名前公表

怜さんの写真をそばに置いて記者会見する母親=23日午後、埼玉県さいたま市内

 埼玉県さいたま市立南浦和中学校1年の男子生徒が2018年に自殺した問題で、遺族は2022年9月、「指導死」を事実上否定した調査報告書に対する所見を埼玉県さいたま市教育委員会の細田真由美教育長宛てに提出した。「理不尽で納得できない部分もたくさんある」とし、記者会見した母親(49)は「顧問教諭の処分を求める」と述べた。

 調査報告書は顧問の指導により、「部活動への不適応に陥った」と指摘しながら、指導と自殺の因果関係を否定した。遺族は所見で、「部活に行きたくなくなるような環境や空気をつくったのは間違いなく顧問だと思う」「(前日の電話は)顧問の意見をそのまま受け入れ、安易に結論づけるのはおかしい」と指摘。「顧問自身がどこまで関与していると認識しているかを知りたい。報告書を読んでほしい」と会見で述べた。

 第三者委の調査会は74回に上り、調査報告書の公表までに約4年を費やした。第三者委はこの間、遺族への情報提供を最低限にとどめ、遺族側は二度にわたり、座長の解任を求めた。座長が報告書の公表会見を欠席したことについて、母親は「本当に驚いた。座長の口からきっちり説明してほしかった。重ね重ね不誠実だと思う」と強く批判した。

 怜さんの写真をそばに置いて会見に臨んだ母親は「自分よりも周りの子の気持ちを考える子で、誇らしく思っていた」。名前を公表した理由について、「息子が存在したのだと、一人の人間として扱ってもらえる気がして家族と相談して決めた」と話した。

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