宇宙デブリ対策、事業化へ1億円 宇都宮のBULL、2ファンドから調達

 役割を終えたロケットや人工衛星など「宇宙ごみ(スペースデブリ)」対策で事業化を目指すスタートアップ(新興企業)のBULL(ブル、宇都宮市中央3丁目、宇藤恭士(うとうやすひと)社長)は23日までに、二つのファンドを引受先とする第三者割当増資を実施し、1億500万円を調達した。事業化を加速させたい考え。

 引受先となったのは、帝京KITT-1号投資事業有限責任組合とWing2号成長支援投資事業有限責任組合。

 BULLは2022年11月設立。役割を終えたロケットなどの周回スピードを減速させ、数カ月かけての大気圏への再突入で燃え尽きさせるデブリ対策装置の開発を目指している。再突入までの間、宇宙の微小重力下でのさまざまな試験に対応し、地球にデータを送る非回収の小型試験装置の開発も進める。

 調達した資金で、研究開発に不可欠な優秀な人材の採用・増員を図るほか、事業パートナーとの関係強化を含め、デブリ対策の事業化を推進するとしている。

 宇藤社長は「宇都宮からビジネス展開を図る基盤づくりの足がかりにしたい」と話している。

 同社は今年4月、宇宙保険分野で先進的な取り組みを進める東京海上日動火災保険(東京都)と、持続可能な宇宙環境の実現を目指すための事業共同に関し、基本合意書も締結した。

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