「議会軽視」と長崎市議が市長に苦言 新文化施設の予算計上見送りで 定例市議会

 定例長崎市議会の一般質問が23日始まり、会派代表の3人が登壇した。市庁舎跡地(同市桜町)に新文化施設を造る計画を巡り、鈴木史朗市長が今定例会に設計予算を計上しなかったことに、吉原孝議員(自民創生)は「これまでの議会の意思決定が軽視された」と苦言を呈した。議会が既に基本計画策定費など計5千万円余りの関連予算を認めてきた経過があるとして、けん制した形だ。
 市は4月、千席程度のホールを設けることなどを盛り込んだ基本計画を策定。今定例会に設計関連予算を提案予定だったが、鈴木市長は開会前の会見で見送りを表明した。
 鈴木市長はこの日の答弁で、見送りの理由を「まちづくりの具体的方向性を示すグランドデザイン(全体構想)づくりの議論や物価高騰など、多面的視点を踏まえて再度整理するため」と説明。その上で「市議会とも丁寧に議論し、スピード感をもって優先的に整備する」と述べた。
 吉原議員が「大きな政策変更。なぜ(4月の)市長選の争点にしなかったのか」とただすと、鈴木市長は「就任後に補正予算を検討する中で見送る判断になった」とした。
 本会議では先議案件として、住民税非課税世帯などに1世帯当たり3万円を給付する事業(21億1700万円)を盛り込んだ一般会計補正予算案1件を可決。電力や食料品などの価格高騰に対応する支援事業で、市内約6万6千世帯を対象に8月にも給付を始める。

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