食材高騰、学校給食を直撃 工夫する県内市町村、公費補助や使用見直し

 ウクライナ危機などを背景とした物価高で、食材費の値上がりが学校給食を直撃している。県内の各市町村では、仕入れ値の上昇分を公費で補助したり、使用する食材を見直す工夫をしたりして給食費を据え置く対応が主流だ。寒河江、中山、鮭川など無償化の自治体も12市町村(第3子以降も含む)ある。児童生徒の成長を支える給食の質と量を維持しようと懸命だが、終わりの見えない価格高騰に不安の声も上がる。

 山形新聞が全市町村に聞き取りした。対応は下の通り。全市町村とも一食当たり小学校で200円台後半、中学校で300円台前半から半ばの値段が主流となっている。

 21市町村は本年度、給食費を値上げせず、値上げしたとしても食材費上昇分を補う予算措置を講じ昨年度同様に据え置いた。学校ごとに給食費を設定している川西町は本年度から小学校5校で1食当たり平均10円値上げした。年度中、さらに値上げする場合、新たな上昇分は助成する。庄内町も25~30円引き上げたが、10月から半年間、無償化する。ほかにも多くの自治体が独自に給食費の一部を補助し、保護者の負担が増えないようにしている。

 限られた予算内で食材を選び、献立を決める現場は、栄養価や分量が変わらないよう配慮しながら、より安い食材に変更するなどの工夫を続けている。山形市は、魚料理でこれまで多く出してきたサケ、サンマから比較的、安価なアジ、カツオ、イワシに変えた。鶴岡市はカレーの鶏もも肉を胸肉に変更したり、ジャガイモなど値動きの少ない食材を中心に使ったりしている。南陽市は単価が高いデザートや果物を減らし、鮭川村は魚料理などの既製品を手作りに変更し、価格を抑えている。

 栄養価の維持と節約との間で、担当者は頭を悩ませる。飯豊町は「肉や魚の値上げ幅が大きく、特にタンパク質を確保するのが大変。カルシウムや食物繊維も不足を補いたいが、もう一品加える余裕がない」。終わりの見えない物価高に不安の声も。本年度から給食費を無償化し、材料費上昇分の補正予算を検討している朝日町は「補正も限界がある。今は工夫してやりくりしているが、このまま価格が上がり続けたらどうなるのか」と懸念する。

◇23年度給食費 全市町村の対応

【無償化】

鶴岡市(9月まで)、寒河江市、山辺町、中山町、河北町、西川町、朝日町、大江町、鮭川村

【第3子以降無償化】

尾花沢、南陽市、高畠町(第1、2子は据え置き)

【無償化予定】

庄内町(10月から半年間)

【据え置き・事実上も含む】

山形市、米沢市、酒田市、新庄市、上山市、村山市、長井市、天童市、東根市、大石田町、金山町、最上町、舟形町、真室川町、大蔵村、戸沢村、小国町、白鷹町、飯豊町、三川町、遊佐町

【値上げ】

川西町(さらに値上げする場合は助成)

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