速い走り方に厚底シューズはどんな役割をする?速く走る為のランニングシューズの仕組みとは!?【すごい物理の話】

速く走るための物理学

人は速く走れることに憧れます。足の速い子は、学校でヒーローになりますね。では、少しでも速く走るためには何か秘訣があるのか、速く走るためのランニングシューズはどんな仕組みなのか探ってみましょう。

右足で地面を蹴ってから左足で着地したとき、蹴ったときの右足のつま先から着地した左足のつま先までを「1歩」と数えます。そして、それにかかる時間、1歩当たりの時間ですね、これを「1ピッチ[s/歩]」といいます。また、1歩で進む距離が「歩幅(ストライド)」です。走行距離は、歩数に歩幅を掛ければ求められ、スタート後の時間は、歩数にピッチを掛ければいいのです。

仮に歩幅2mで50歩走ったなら、走行距離は100mです。反対に100mを歩幅2mで走れば、歩数は50歩となります。1ピッチ0・2秒/歩掛かれば、50歩×0・2秒/歩=10秒ですね。長距離を走るには、ピッチ走法(歩幅を小さくピッチを多くする走法)とストライド走法(歩幅を大きくとって歩数を少なくする走法)があります。同じ距離を走る場合、歩幅が小さければ歩数が増え、歩幅が大きければ歩数は少ない。これは当然ですね。

そうして長距離では、一定速度で長時間走るわけなので、空気抵抗をいかに少なくして体力を温存するかが決め手になるでしょう。短距離を速く走るには、スタート時の加速をいかに短時間でトップスピードに持っていき、そのままトップスピードを維持してゴールまで走り切るかにかかっています。トップスピードを維持するときに必要な力は、空気抵抗と同じ大きさの力によります。なので、短距離走で意識すべき力は、加速力。つまり、短距離走で速く走るには、加速計画を立てて取り組むことが重要となるわけです。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 すごい物理の話』著/望月修

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 すごい物理の話』
著:望月修

物理学は、物質の本質と物の理(ことわり)を追究する学問です。文明発展の根底には物理学の考えが息づいています。私たちの生活の周辺を見渡しただけでも、明かりが部屋を照らし、移動するために電車のモーターが稼働し、スマートフォンの基板には半導体が使われ、私たちが過ごす家やビルも台風や地震にも倒れないように設計されています。これらすべてのことが物理学によって見出された法則に従って成り立ち、物理学は工学をはじめ、生命科学、生物学、情報科学といった、さまざまな分野と連携しています。……料理、キッチン、トイレ、通勤電車、自動車、飛行機、ロケット、スポーツ、建築物、地震、火山噴火、温暖化、自然、宇宙まで、生活に活かされているもの、また人類と科学技術の進歩に直結するような「物理」を取り上げて、わかりやすく図解で紹介。興味深い、役立つ物理の話が満載の一冊。あらゆる物事の原理やしくみが基本から応用(実用)まで理解できます!

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