FIFPROが女子W杯予選の問題点を指摘、3割が無報酬で参加…補償・健康面など改善を要求

中立地での大陸間プレーオフを勝ち抜いて初出場を決めたハイチ女子代表[写真:Getty Images]

国際プロサッカー選手会(FIFPRO)は20日、国際サッカー連盟(FIFA)とその加盟6連盟に対し、将来の女子ワールドカップ(W杯)予選に出場する全選手の条件、補償、医療ケアを大幅に改善するよう求めた。

7月に開幕を控えるオーストラリア&ニュージーランドW杯は、今大会から参加国を拡大し、32カ国が出場。過去9大会すべてに出場しているなでしこジャパンに加え、ポルトガルやモロッコなど8カ国が初出場を飾る。

今大会では賞金額の増加や宿泊施設や移動面などの待遇改善が為されているが、各大陸の予選においてはさらなる改善が必要だと、FIFPROは訴えた。

各予選に参加した362名によるアンケートの結果によると、自身を「プロ選手」とみなしているのは、回答者の40%。全体の66%は代表チームでプレーするために別の仕事から無給休暇を取らねばならず、約3分の1(29%)が、W杯予選に参加しても報酬を受け取っていなかったとのこと。

また、66%はリカバリー施設が高水準ではないか、存在しないと回答し、長距離のフライトを含めて59%がエコノミークラスの利用だったと伝えている。

調査対象となった選手の半数以上は大会前のメディカルチェックを受けておらず、70%は心電図による心臓の健康診断を受けていなかった。

オーストラリア『ABC』では「重要な健康診断へのアクセスに関して、100%を下回る統計は全く容認できない」とする、FIFPROの女子サッカーのグローバル政策・戦略的関係担当ディレクターのサラ・グレゴリアス氏のコメントを伝えている。

そのほか、ヨーロッパ予選がホーム&アウェイ方式で行われたのに対し、そのほかは各大陸選手権の成績を予選として運用。なでしこジャパンも参加したAFC女子アジアカップはFIFA指定のマッチデー外だったこともあり、「大会間のスケジュール、期間、形式、条件に複数の不一致」があったことを指摘している。

集中開催は、アジアやアフリカなど、エリアが広い地域・国の移動距離を軽減できるメリットがある反面、日程次第でリカバリーの難しさが生じる側面もあり、疲労やケガのリスは避けられない。

FIFPROは「FIFA女子W杯が真の世界的イベントであるためには、予選もエリートの基準でなければなりません」と、選手の資格獲得や単独の競技会開催といった最低基準を求めているが、各連盟や協会の思惑、収支面などを含め、一朝一夕に改革ができるかと問われれば疑問が残る。

まだまだ考慮すべき点の多い女子選手への待遇だが、選手会が声を挙げる意味は大きい。全面で平等とは言わずとも、改善へとつながっていくのではないだろうか。

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