カネミ油症被害の患者認定、基準改定の可能性も 厚労省が示唆、子や孫への健康調査データ蓄積で

国や加害企業との協議に臨むカネミ油症被害者団体の代表ら=24日午前、福岡市内

 食品公害カネミ油症の被害者団体と国、加害企業カネミ倉庫(北九州市)による3者協議が24日、福岡市で開かれた。厚生労働省は、被害者の子や孫といった次世代への健康被害を示すデータが集まった際には、患者の認定基準を改定する可能性を示唆した。

 次世代は原因物質のダイオキシン類の血中濃度が一般人とあまり差がなく、身体症状があっても認定患者とされる人は少ない。被害者団体は認定基準の改定を求めてきた。

 全国油症治療研究班(事務局・九州大)は2021年から子や孫への健康実態調査を実施。協議前日の23日には、被害者の次世代では先天性疾患の口唇口蓋裂で生まれる割合が一般より多いなどの報告があった。

 3者協議の中で、被害者団体の三苫哲也さん(53)=福岡市=が「調査からも次世代に及ぼす影響はあるといえる。認定基準の改定に着手すべきではないか」と発言。厚労省の担当者は「まだ一部のデータが示されただけなので、他の疾患も調べる必要がある」としつつ、「集まったデータ次第では、改定に必要な有識者会議を開く可能性も出てくる」との認識を示した。

 油症被害者関西連絡会の共同代表、曽我部和弘さん(58)=大阪府=は「次世代調査の機会を生かし、問題を長引かせず前に進めてほしい」と要望した。

 またカネミ倉庫からは、認定患者が死亡した場合に支払う香典代について、現在の2万円から10万円に増額する提案があった。(小尾絵生)

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