加賀6JA、合併再び延期 堅実経営、機運高まらず

  ●22年→25年→27年

 石川県内16JAを能登、金沢、加賀の三つに再編するJA県中央会の構想で、加賀エリアの6JAの合併目標期日が再度延期され、当初の計画から5年遅れの2027年4月に設定されたことが24日、分かった。合併構想への反対はないが、各JAとも堅実な経営状況で機運が高まらないのが理由とみられる。中央会長の西沢耕一JA小松市組合長は「タイミングを計っているだけ」と冷静に受け止めた。

 中央会は19年1月、県内3JAへの統合と2022年発足の目標を掲げた。加賀エリアは加賀、小松市、根上、能美、白山、松任の6JAが研究会を設置して協議を続けるも、21年に合併目標時期を25年4月に先送りした。

 関係者によると、各組合からは、「各JAとも収益を出している」「合併後にぎくしゃくするのは避けたい」「職員の給与体系をそろえるのは困難」などの意見が多く、再度の合併先送りが確認されたという。

 24日のJA小松市通常総代会では、合併目標期日の先送りと25年度の合併推進協議会設置を目指す方針が報告された。

 西沢会長は北國新聞社の取材に対し、財政規模拡大など合併の利点は大きいとした上で「今は無理をせず、6JAの足並みがそろうのを待っている」と話した。

 ほかの5JA組合長も合併には前向きな一方で、24日、取材に対し、JA加賀の中村眞組合長は「合併で現在の事業やサービスがどこまで継続できるか説明が必要」、JA松任の得田恵裕組合長は「経営改善のスピードも遅れている。態勢を整えるための延期」、JA能美の作田実喜秋組合長は「合併までに収益力を確保せねばならない」とそれぞれ指摘した。

 JA白山の柄田俊樹(しゅんじゅ)組合長は「あくまでコロナ禍で議論が十分できていないだけ」、JA根上の吉岡康廣組合長は「JAが足並みをそろえ、議論を煮詰める必要がある」と述べ、延期やむなしとの認識を示した。

 県内で議論が進むのは、能登エリアで先行して8月1日に「JAのと」を発足させるJAおおぞら(穴水町)とJAすずし(珠洲市)のみ。当初協議に加わっていた能登わかば(七尾市)は、本店所在地などで折り合いが付かず、昨年6月に離脱した。金沢エリアの4JAは合併のめどは立っていない。

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