カネミ油症被害3者協議 厚労省は基準改定検討に言及、カネミ倉庫は香典増額

厚労省が診断基準改定の検討に関して言及した3者協議=福岡市内

 カネミ油症被害者と国、原因企業カネミ倉庫(北九州市)による3者協議が24日、福岡市内であった。油症認定患者の子や孫ら次世代の救済の壁となっている診断基準に関し、厚生労働省は全国油症治療研究班(事務局・九州大)が次世代調査を進めていることを踏まえ、「(調査結果次第だが)ある程度のデータがまとまった段階で診断基準の改定ができるか検討を進めていくべきと国も考えている」との認識を示した。
 研究班は23日に、一部の先天性疾患の発生率が高い傾向にあるなど次世代調査の解析状況を報告。昨年2月の中間報告では次世代計388人のうち「倦怠(けんたい)感がある」「頭痛・頭が重い」と回答した人がそれぞれ約4割いると公表していた。
 協議で被害者側は、油症の主因ダイオキシン類の血中濃度を重視する現行診断基準の改定に着手するよう要請。厚労省は、改定を検討する場合には研究班が主体となり有識者会議を設置することなどを説明した。
 一方、カネミ倉庫の加藤大明社長は、認定患者が亡くなった際の香典を現在の2万円から10万円に増額する意向を示した。昨年10月以降の死者約30人には、さかのぼって差額の8万円を支払う。被害者側は原爆被爆者の遺族への葬祭料約20万円と同水準を求めていたが、方針を了解し、引き続き増額の検討を要望した。
 記者会見したカネミ油症被害者全国連絡会の鈴木文史朗さん(61)は「香典増額は前進。次世代の新たな診断基準は早く示してほしい」と述べた。
 3者協議は2013年に始まり21回目。初めてビデオ会議システムで報道陣に公開された。

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