京都市の消防ヘリ「府はもっと費用負担を」 「市外出動」3倍増でもわずか4%

京都市消防局の消防ヘリ。災害時の救助活動などで市外への出動回数が増えている(同局提供)

 京都市消防局の消防ヘリの市外出動が増えている。市を除く京都府内市町村への出動は2022年で14件に上り、前年の3倍に増えた。国の通知で消防ヘリの配備は都道府県の役割だが、府はヘリを所有せず、市の2機が府全域をカバーしているものの、府の負担するランニングコストは4%にとどまる。市は府に応分の負担を求めている。

 京都市の消防ヘリは1972年に導入。昨年までの出動件数は約4千件に上り、府内で発生した山岳遭難や水難救助のほか、阪神大震災や東日本大震災といった大災害や、福知山市で2013年に発生した露店爆発事故でも負傷者を搬送した。

 1年間の出動件数は100件超で推移している。このうち京都市外の府域への出動は18年4件、19年7件、20年6件、21年4件だったが、22年は14件と大幅に増えた。亀岡市や京田辺市で発生した火災に伴う情報収集や宇治市の水難事故の捜索、病気の子どもの搬送などに対応したという。

 府域への出動件数が増えた理由について、同局は府域の消防本部と連携し、ヘリを使った現地訓練を増やしたことを挙げる。21年は2回だけだったが、22年は16回実施した。同局は「ヘリに接する機会が増えたことで、有事の際に応援要請をしやすくなったためでは」とみる。

 ただ、1年間のランニングコスト約4億円のうち、府の負担は約1500万円。市は長年、府に対して負担金の増額を求めているが、府域への出動回数が少ないことなどを理由に応じていない。府域への出動回数が増えれば根拠の一つがなくなることになり、同局は「ヘリを積極的に活用してもらい、結果的にそう(負担金増に)なればいい」としている。

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