土石流対応、90人の実録 熱海署「30年後の教訓に」

静岡県警熱海署が大規模土石流に関わった署員の思いをまとめた文集「伊豆山」を読む同署幹部=16日

 2021年7月に静岡県熱海市伊豆山で発生した大規模土石流で、行方不明者の捜索や原因究明に向けた捜査に関わった当時の熱海署員約90人の思いを署が文集にまとめた。「被災者の無念を晴らす」という決意から、「警察の存在の大きさを感じた」という自負まで、率直な気持ちを約100ページにわたってつづった。署の幹部は「得られた教訓を20年後、30年後の署員にも読み継いでもらいたい」としている。

 文集の話が持ち上がったのは22年夏ごろ。「未曽有の災害の記録を残すべきではないか」との意見が上がり、制作が始まった。発生当時に勤務していた署員から原稿を集め、23年3月に完成。タイトルは「伊豆山」とした。被災当時の記憶や思いをありのままにつづってもらうため、外部には一切公開しないことにした。

 発生当時、刑事課で勤務していた署員は「警察が捜査をすれば分かることだと思っている」と被災者に声をかけられたエピソードを紹介した。

 大規模土石流は起点の土地で続いた違法な盛り土造成が原因との見方が発生当初から出ており、2年近くたった今も責任の所在を解明する捜査が続いている。

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