「戦争で得るものはない」 佐世保空襲体験者・緒方さん 市民の集いで講話

「戦争で得るものはない」と反戦反核を訴える緒方さん=佐世保市常盤町、まちなかコミュニティセンター

 長崎県佐世保市のNPO法人「佐世保空襲を語り継ぐ会」の市民の集いが24日、市内であり約60人が参加した。体験者の緒方毅さん(82)が当時の経験などを語り「戦争で得るものはなにもない」と反戦反核を訴えた。
 佐世保空襲は1945年6月29日未明、米軍のB29爆撃機が市街地に焼夷(しょうい)弾約千トンを投下。1200人以上が犠牲になった。
 緒方さんは当時4歳。天神町で空襲に遭った。爆撃機が迫っていると気づき、自宅近くの防空壕(ごう)に逃げ込むと、壕から5メートルほど先にあった高さ約2メートルの植物「リュウゼツラン」に焼夷弾が直撃。その光景は、鮮明に記憶しているという。戦争を繰り返さないために「日本は平和だから『戦争は過去のこと』と思わず、報道から(国内外の情勢などに)疑問を持ち、戦争が起こる芽を摘む必要がある」と訴えた。
 参加者は班に分かれ「反戦に向けて自分にできること」を意見交換。「若い人に戦争の悲惨さを自分の事と感じてもらう」などの意見が出た。参加した県立佐世保西高3年の松本佳菜さん(17)は「自分の手の届く範囲から(反戦を)伝えたい」と話した

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