長崎県大村市出身でバスケットボール男子Bリーグ1部（B1）の横浜BCに所属する23歳のフォワード松崎裕樹が、プロ1年目のシーズンを終えて一時帰省した。今後の目標や地元への思い、秋から同じB1で戦う長崎ヴェルカの存在などについて聞いた。
－プロ1年目は。
1年目からチャンピオンシップ（上位8チームによる年間優勝トーナメント）という素晴らしい舞台を経験して課題と強みが見えた。課題は3点シュートの成功率。トップ選手は決めてくる。生き残るために克服すべきところ。強みはトランジション（攻守の切り替えのスピード）とディフェンス。そこは通用すると思う。これからスカウティング（分析）されて、どう対応していけるか。最大の強みとして明確にできるようにオフシーズンを過ごしていく。
－高校、大学で日本一を経験している。大学までとの違いは。
外国人選手。大学までも留学生はいるけれど、Bリーグは帰化選手らを含めるとコート上に最多3人。自分より体が大きくて強い選手とマッチアップする回数が増えた。大学時代はとにかく重りを持って体を大きくして、当たり負けないように鍛えた。今からはその大きい体のアジリティー（俊敏性）を上げていく。トレーナーさんの数だけ考え方があるので、たくさん話して取り組みたい。
－チームメートで2022～23年シーズンに最優秀選手（MVP）賞や新人賞などを獲得した河村勇輝選手は一つ後輩。高校や大学でも一緒にプレーした。彼の存在は。
心強いし、とても刺激になる。個人6冠という誰もが成し遂げられないことを、一個下の勇輝がやったことはすごいし、自分も負けられない。チームメートだけれど、そこに競争が生まれれば、お互いにとって絶対にいい。シーズンが終わった後も次は2人で優勝しようと話した。
－大学時代に長崎ヴェルカが誕生。最短でB1昇格を果たして秋からは同じ舞台で戦う。ヴェルカの存在について。
まさか地元にBリーグのチームができると思っていなかった。伊藤拓摩社長兼ゼネラルマネジャーや前田健滋朗監督は、Bリーグでもトップのヘッドコーチ。そういう方々が本当に長崎にいるんだなと…。素晴らしい選手たちが自分の地元でプレーしていることに感動もするし、より一層、自分も頑張らないといけないなと。絶対に地元のチームには負けられない。
－長崎でB1の試合があることは子どもたちへの影響も大きい。
本当に素晴らしい機会で効果がある。トップレベルのプレーを目で見て体感することは必ず成長につながる。たくさん試合を見てほしいし、横浜BCの試合にも来てもらえるとうれしい。
－地元に帰った感想、長崎での試合に向けて。
落ち着くし、思っている以上に応援されていると感じる。より責任と自覚を持って結果を出さないといけない。試合は楽しみだけれど、緊張の方が大きい。ふわふわしちゃうこともあると思う。場の雰囲気や応援を楽しみながら、いつもと変わらないように意識して、ヴェルカに勝つことだけを考えてやっていく。
－23～24年シーズンやこれからの目標を。
シーズンの目標はチャンピオンシップ優勝しか狙っていない。（26年に創設予定の新たなトップカテゴリー）“新B1”に向かっても、課題をクリアしていかないといけない。そのためにも目に見える結果を全員で出していきたい。個人としてはもっとプレータイムを増やして、順応して成績を上げたい。（同じ大村市出身で同年代の）陸上の廣中璃梨佳さんも世界のトップと戦う舞台でやられている。五輪もそう。自分もその舞台に立てるように、まずは日本代表の合宿などに呼ばれることを目標にしていく。
【略歴】まつざき・ひろき 三城小2年でバスケットボールを始め、大村中時代に県選抜チーム入り。福岡第一高へ進学後、1、3年時に全国高校選手権（ウインターカップ）を制した。東海大では主将を務め、昨年12月の全日本大学選手権（インカレ）は最優秀選手（MVP）に輝いてチームを優勝に導いた。在学中にB1の横浜BCに加入。今年1月の琉球戦でデビューし、34試合に出場してチャンピオンシップ4強に貢献した。身長192センチ、体重95キロ。
