第69期美作アマ将棋名人戦、白石四段(11)名人位獲得

史上最年少の名人誕生――。村田洋一名人(59)=会社員、小原=が防衛するか、挑戦者の白石智也四段(11)=南小6年、津山口=が最年少で名人位を獲得するかと、将棋愛好家の注目を集めていた第69期美作アマ将棋名人戦(津山朝日新聞社主催、日本将棋連盟津山支部主管)は21日、高野本郷の津山キッズ将棋教室を会場に三番勝負で行われた。熱戦の結果、白石四段がストレートで勝ち、アマチュア最後の対局を勝利で飾った。
立会人=小林正典三段、市本恕一三段、記録=川口剛永世名人、森川邦夫三段、西崎文雄二段、持ち時間45分、1分秒読みで行われた。
最初に本社・福田邦夫社長が「コロナ禍の中、挑戦者決定大会に続いて今回も感染予防対策を施していただき感謝します。悔いのない将棋を指して下さい」とあいさつし、対局に移った。
タイトルの行方を大きく左右する第1局は午前9時3分、振り駒により村田名人の先手でスタート。村田名人が角道を開けない「嬉野流」を採用し、相居飛車の力戦型に誘導。中盤、ペースを握ろうとした村田名人の指してに対して白石四段が鋭い踏み込みから切り返しを実行し、優劣不明の難解な終盤戦に突入。最終盤でのせめぎ合いでは村田名人の攻め急ぎがあり、それを的確にとがめた白石四段が勝ち切った。両者持ち時間を使い切り、秒読みとなる大熱戦だった。1時間39分、96手。
第2局は11時5分、白石四段の先手で開始。白石四段の居飛車に対し、村田名人は通常の角道を止める四間飛車を採用し、オーソドックスな持久戦を展開。駒がぶつかり始める中盤に突入する直前に、瞬間的に発生した後手陣の4筋の壁をとがめるべく鋭く反応した白石四段が、自玉の厚みを生かして敵玉頭から猛攻を開始するも、途中で指し過ぎがあり、またもや難解な終盤戦に突入。最後は村田名人に錯覚があり、白石四段がそのまま押し切った。村田名人にとっては、持ち駒が1歩あれば有効な手段が多い展開だっただけに、残念な一局だった。1時間6分、75手。
1、2局を通じて白石四段の深く鋭い正確な読みが勝った内容で、アマ最後の大会で念願の名人位を手にし、美作竜王と合わせて2冠となり、名実ともに美作地区最強となった。
対局終了後、本社と同連盟津山支部から賞状や盾、記念品が両者に贈られ、好勝負をたたえた。
白石四段は日本将棋連盟のプロ棋士養成機関「奨励会」入会試験に合格。10月から奨励会での戦いが始まるため、来期はタイトルが返上され、新たに名人を選ぶ大会となる。
村田名人の話 今日は調子よく、自慢できるいい将棋が指せた。白石名人が強かった。来期は名人位が空位になるので、返り咲きできるよう励む。
白石四段の話 1局目は少し緊張した。2局目は最初に勝てたので楽になり、指したい手が指せた。奨励会でも頑張る。


息詰まる熱戦が展開された名人戦 村田名人(右)と白石四段

史上最年少で名人位を獲得した白石四段

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