革新機構、JSRを買収 半導体材料、経済安保へ9千億円

オンライン記者会見で産業革新投資機構による買収受け入れを発表するJSRのエリック・ジョンソン社長=26日午後

 半導体材料大手JSRは26日、国が出資する産業革新投資機構による買収を受け入れると発表した。革新機構は9千億円超で株式公開買い付け(TOB)を行う。JSRは東京証券取引所の最上位市場プライムから上場廃止となり、先端分野に集中する。経済安全保障で重要な産業を官民で育成する姿勢が改めて鮮明になった。

 JSRは半導体の回路形成に用いられる「フォトレジスト」で、世界市場の約3割のシェアを握る。非上場化で成長への投資や事業再編をしやすくする狙いがある。革新機構はAIなどの技術革新を左右する半導体の供給網強化を図る。

 TOBは革新機構の傘下の会社を通じて実施。TOB価格は1株当たり4350円とする。JSRは26日午後6時半からオンラインで記者会見して詳しく説明する。

 半導体は基板に回路を焼き付けて製造する。フォトレジストは焼き付けが可能になるようあらかじめ塗っておく薬剤で、半導体製造に欠かせない戦略物資だ。政府が2019年に対韓輸出規制を強化した際に対象品目の一つとし、外交上のカードにも使われた。

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