潜む家庭内不平等 女性の悩み「パートナー」2割 男性も生きづらさ訴え とちぎ共同参画センター、22年度相談受理

とちぎ男女共同参画センター相談窓口一覧

 25日に閉幕した先進7カ国(G7)男女共同参画・女性活躍担当相会合では、男女の不平等解消に向けた方策が話し合われた。とちぎ男女共同参画センター(宇都宮市)が受け付けている「女性のための相談」一般相談には2022年度、パートナーに関する相談が約千件寄せられた。暴力など、家庭内の不平等がうかがえる内容も少なくない。

 同センターは11年度の開所以来、女性を取り巻く問題や悩みに対応する相談を電話や対面で受け付けている。相談内容は家庭、医療、人間関係、経済的困窮など多岐にわたる。

 夫や内縁の夫などパートナーに関する相談は過去5年間、全体の2割程度を占める。「暴力を受けている」など深刻な相談もあり、担当者は「家族の問題は周囲に相談しづらく、受け皿となる場が必要だ」と強調する。

 22年度の一般相談受理件数は4381件。20年度の4701件をピークに減少傾向となっており、同センター相談支援課は交流サイト(SNS)の普及を背景に、悩みを匿名で吐き出したり、自ら情報を調べたりしやすくなったことが影響していると分析する。

 だが、担当者は「窓口は相談者が専門家や支援機関につながる入り口にもなっている。行政機関としての信頼を強みに、多くの人に窓口の存在を知らせたい」と利用を呼びかけている。

「らしさ」求められつらい...

 とちぎ男女共同参画センターには男性専用の悩み相談ダイヤル「男性のための電話相談」もある。旧来の「男らしさ」を求められるつらさを訴える声も寄せられるという。

 ダイヤルは2011年度に週1回で始まり、14年度からは週2回、男性相談員が対応している。受理件数は16年度に263件となって以降7年間、200件超が続く。ピークの19年度には290件まで増加した。

 近年は心身の相談のほか、夫婦関係をはじめとした人間関係に関わる相談が増えている。人間関係では、男らしさや強さを求められるつらさなど、ジェンダーバイアス(性別に基づく偏見)にまつわる内容もある。「『誰かに話を聞いてもらいたい』と言う人もいる」と担当者は話す。

 ジェンダーの問題は女性がクローズアップされがちだが、男性の生きづらさにも目を向ける必要がありそうだ。

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