さとちょう、民事再生へ 青森県内第4位スーパー、負債約70億円 全26店舗は当面営業継続

民事再生法の適用を申請した佐藤長が運営する、さとちょう樹木店=26日午後3時40分ごろ、弘前市樹木5丁目

 津軽を中心にスーパー「さとちょう」を展開する佐藤長(本社弘前市、佐藤譲社長)は26日、民事再生法の適用を青森地裁弘前支部に申請した。関連会社の青森食研(本社黒石市、同)も同様に申請し、負債額は佐藤長63億4785万円、青森食研6億2300万円で計約70億円。経営悪化に加え、前社長の職業安定法違反事件の影響で金融機関からの借り入れが受けられず、支払いが滞った。当面は全26店舗で営業を続け、従業員約800人の雇用も維持。支援企業を探して事業再生を図る。

 26日、佐藤社長と代理人の齋藤拓生弁護士(仙台市)らが弘前市桔梗野4丁目の本社事務所で会見して明らかにした。佐藤長の債権者は390人で、金融債権は47億5060万円。債権者説明会は7月4日、青森市のリンクステーションホール青森で開く。

 佐藤社長らによると、2020年に青森食研を設立し、全店の弁当・総菜製造を同社に一元化したが、ノウハウ不足から製造効率が悪化。他スーパーとの競争激化、原材料や電気料の高騰などが経営を圧迫した。

 22年11月には、前社長が暴力団組員から労働者の派遣を受けたとして職業安定法違反容疑で逮捕され、金融機関が融資を停止。保険解約や資産の売却などで運転資金の調達を続けたが、6月末に取引先へ支払う資金が確保できなかった。

 25日までの債務は凍結し、26日以降の仕入れ代金は支払う。複数の支援企業候補と協議中で、8月末までに決定する予定。11月までに再生計画を策定し、24年1月下旬に債権者集会で再生計画案を決議する。関連会社が県内外に出店する鮮魚店「魚三」やコンビニエンスストアなども営業を継続する。

 会見で齋藤弁護士は「地域に欠かせないスーパーであり、雇用を守るためにも(民事再生を)決めた。債務は可能な限り返済する」と説明。佐藤社長は「お客さまや取引先に多大な迷惑をかけ、本当に申し訳ない」と陳謝した。

 佐藤長は創業125年。22年8月期の売上高は約143億6千万円で、県内スーパーではユニバース(八戸市)、紅屋商事(青森市)、マエダ(むつ市)に次ぐ県内4位。

© 株式会社東奥日報社