<金口木舌>野生ブドウの可能性

 香川大学が独自に開発したブドウの品種「香大農R-1」を使った同大のブランドワイン「ソヴァジョーヌ サヴルーズ」が販売されている。独特の渋みとフルーティーな味わいで、香川県内外で人気を博している

▼ワイン名はフランス語で「芳しき野生の乙女」という意味。「香大農R-1」は高級温室ブドウのマスカット・オブ・アレキサンドリアと、沖縄に自生する野生ブドウ「リュウキュウガネブ」を掛け合わせた

▼リュウキュウガネブは近年、本島中北部で少数の農家が生産している。宜野座村の新里えり子さんの畑で試食した。紫色の小ぶりの実はこくがあり、幼い頃に野山で食べた懐かしさも感じた

▼機能性成分は国内のヤマブドウの中でも高く含まれるとの研究もある。県内で収穫後に県外で醸造し、ワインが生まれる

▼県は恩納村でのワイン製造に向けて国に規制緩和を申請中だ。酒造免許の取得は、一定量の製造を定めるが、生産が広がれば可能性も出てくる。泡盛のように「恩納産」「宜野座産」ワインの味比べ、と想像は膨らむ。

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